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甘い囁きと彼の到着

突然の快感からハッと我に返った時には、もう透也は俺が出したものを嬉しそうに飲み込んでいた。 「とう、や……」 「最高の癒しですね」 「癒しって……」 「本当ですよ。この前は大智のを飲めませんでしたら、今度は絶対に飲もうって決めてたんです」 「ばかっ……」 照れもせずによくそんなことをいう。 でも正直にいうと、透也が俺のアレを飲んでくれた時、すごく嬉しかったんだ。 だって、ためらうどころか本当に嬉しそうな表情をしていたから。 恥ずかしかったけど、でも透也が嬉しそうならいいか。 そう思えた。 とてつもなく簡単にイかされて、ぐったりとソファーに身を預けている間に透也に温かな濡れタオルで体を拭われて、下着も新しいものに変わっていた。 透也のTシャツは変わらずにそのままだったけど。 「そろそろ寝ましょうか?」 「あ、でも……」 「んっ? 何かありますか?」 「あ、いや……透也は、その……しなくて、いいのか?」 30にもなってそれをいうだけで恥ずかしがっているのもおかしいと思うけど、でもやっぱり恥ずかしいものは恥ずかしい。 でも透也が望むなら……と思っていたけれど、 「ふふっ。大丈夫ですよ」 と笑ってかわされる。 「えっ、でも……」 「いいんです。今、大智にしてもらったら、口だけで我慢できないことは自分が一番よくわかってますから」 そう言ってにっこり笑いながら、俺の耳元で囁いた。 「その分、明日……ね。大智」 「――っ!!」 「わかりました?」 「ああ。元々、明日は一緒に風呂に入ろうって誘おうと思っていたし」 「それ、本当ですか?」 「あ、ああ。俺のためにいろいろしてくれてるから、一緒に入ることで少しでも透也の癒しになるならって……」 「大智っ!! どこまで俺を喜ばせてくれるんですか」 「そんなに嬉しいか?」 「もちろんですよ。わかるでしょう?」 透也が自分の想像以上に喜んでくれて、俺の方が嬉しかった。 やっぱり俺はもう透也じゃ生きていけないのかもしれないな。 「今日の分はたっぷり癒してもらったんで、そろそろ寝ましょうか」 透也に抱きしめられながらいつもの定位置に頭を乗せると、途端に眠くなってくる。 今日は内勤ばっかりだったとはいえ、金沢さんたちの抜けた穴を振り分けるのも結構神経使ったからな。 意外と身体だけでなく頭も疲れていたのかもしれない。 俺はあっという間に眠りについていた。 翌日すっきりとした頭で目が覚めたのは、透也が欲を吐き出させてくれて、ぐっすりと寝かせてくれたからかもしれない。 今日も透也の作ってくれた朝食を食べながら、話題になったのはもちろん今日から来る宇佐美くんの話。 「それで敦己は、今日来てそのまま支社に顔を出すんですか?」 「そうみたいだよ。一度社宅に入ったら出て行くのが億劫になるかもしれないからって言っていたが、多分少しでも早く仕事内容を把握しておきたいんだと思うよ」 「ああ、敦己らしいな。自分がどれだけ望まれているかをわかった上で来ているからさっさと結果を残したいんだろうな。その方が安心させられるでしょう?」 「確かに宇佐美くんはそういうところがあるな。婚約者さんを残してきているから、早く結果を出して帰国したいっていう思いもあるんだろうが、ここでは少しのんびりと進めて欲しいと思ってるんだけどね」 「それなら、俺の方からさりげなく話をしてみますよ」 「ありがとう。そうしてくれると助かる。頼むよ」 こうやってプライベートから仕事の相談もできる相手って、話題をわざわざ探さなくていいし気楽に過ごせて居心地いいな。 透也も同じように思ってくれていたら嬉しいけど。 支社に行くと、すでに新しい事務員さんが何人か入ってきていた。 これで昨日みたいな事態にはならないと思うけれど、流石に即戦力というわけにはいかないだろうから教育係は必要かな……。 とりあえずいくつか指示を与えて、以前からいる事務員さんに託しつつ様子を見てみると、 「支社長!」 と興奮気味に駆け寄ってきた。 「どうした? 何か困ったことでも?」 「いえ、すごいんです! あの新人さんたち!」 「すごい?」 「はい。もう金沢さんたちの倍、いや三倍くらい働いてくれて、しかもものすごく効率がいいんです」 「そうか、三倍はすごいな」 「はい。だから、今度のものすごいプロジェクトも事務員全員で資料作りにお手伝いしますからなんでも指示してください!」 「ははっ。頼もしいな。ありがとう」 金沢さんたちがいなくなってどうなることかと思ったが、素晴らしい人材が来てくれたみたいでよかった。 昼食を食べ終え、午後の仕事に入った頃、ロビーから俺宛に連絡が入った。 どうやら宇佐美くんが到着したようだ。 本当は空港まで迎えにいってやろうと思ったけれど、透也に反対されたんだよな。 だから、宇佐美くんのところにはキースに迎えにいってもらったんだが、無事にここまで来れたみたいだ。 俺はエレベーターも待ちきれずに、急いでロビーへと駆け降りた。

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