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深いお風呂

<side月坂蓮> 裸になり、ルーファスさんを見るとちょうど上の服を脱ぎ、上半身が裸になったところだった。 「わぁ――っ!」 肩や胸の筋肉もすごいけれど、お腹もやっぱり6つ、いや8つに分かれていて、僕の貧相な身体とは大違いだ。 すごいなぁ、やっぱり王さまも何かあった時のために鍛えているんだろうな。 「レン? どうした?」 「いえ、ルーファスさんの身体がすごいなと思ってびっくりしたんです。抱きかかえられた時から筋肉すごいなとは思ってましたけど、実際に目の当たりにしたらすごくって……。こんなにすごい身体見たの初めてで……あの、触ってもいいですか?」 「――っ! あ、ああ。構わないぞ」 「やった、嬉しいっ!」 僕はドキドキしながら、ルーファスさんのお臍のあたりにそっと触れてみると 「――っ!!」 ルーファスさんの身体がビクッと震えた。 「あっ、手冷たかったですか?」 「い、いや、大丈夫だ。気にしなくていい」 そう言われて安心して、手のひらを全部硬い腹筋に当ててみた。 鋼鉄のように硬い身体に 「うわっ! すごい、ガチガチですよっ! こんな硬いの初めてっ! 本当にすごいなぁ」 と楽しくなってペタペタと触っていると、 「くっ――!」 苦しげな声がほんのり聞こえた気がした。 「あの……? やっぱり迷惑でした?」 「い、いや。そんなことはない。レン、風邪を引くといけないからとりあえず中に入ろう」 「あっ、そうか。そうですね」 「レン。ほ、ほらあの扉から中が見えるだろう? レンの知っている風呂と比べてどうだ?」 指で指し示された方を見ると、浴室への扉が見えた。 近づくと、僕が通っていたお風呂屋さんよりもずっと広い、丸い浴槽が見える。 それにお湯は透明じゃなく、色がついているみたいだ。 このお花の香りがするお湯なのかな? 「じゃあ、入ろうか」 浴室のことに気をとられている間にルーファスさんも着替え終わったらしい。 さっと手を取られて浴室へと向かう。 あっ、ルーファスさん……腰にタオル巻いてる。 ああ……僕も巻けばよかったかな。 いつも一人で入ってるから、タオル巻くのとか考えてもなかったけどもしかしたらそういう決まりとか? 海外には水着を着て温泉入るところもあるって言うしね。 「あ、あの……ルーファスさん、僕も……タオル巻いたほうがよかったですか?」 必要ならタオルを巻こうと尋ねてみたけれど、ルーファスさんは僕の身体にさっと視線を向けると 「い、いや。気にしないでいいよ」 と言われ、そのまま中へと連れて行かれた。 ちょっと反応が気になったけれど、まぁルーファスさんが言うなら間違いないし、いいか。 「レン、まずは髪と身体を洗ってから湯船に入ろう」 ふふっ。 やっぱりそれはどこも一緒だな。 「この石鹸使ってもいいんですか?」 「あ、いや。レンはこっちのにしておこうか」 「これは?」 「赤……いや、肌の弱い者専用の石鹸なのだよ。レンにはこっちが合うだろうとクリフに用意させておいたんだ」 「すごい! なんでわかったんですか?」 「んっ? どう言う意味だ?」 「僕、肌が弱くてすぐにかぶれちゃうんです。だから、湖に行く時もいっぱい薬持ってきたんですけど、荷物も全部置いてきちゃったから心配してたんです」 「そうなのか……ならば、後でイシュメルに話しておこう」 「イシュメル、さん?」 「ああ。王城専属医師で、このリスティア王国一の腕を持っている。だから、心配事があればなんでも聞くといい」 「はい。ありがとうございます」 ルーファスさんが用意してくれた石鹸は甘いミルクのような匂いがして、すごく優しい感じがした。 うん、これなら大丈夫そう。 髪も同じようなミルクの匂いのするモコモコの泡で洗った。 洗い終わりはなんだかツヤツヤになったみたいだ。 いつも使っているシャンプーとは比べ物にならないくらい良いものみたいだ。 さすがお城にあるものだな。 僕が髪と身体を洗っている間にルーファスさんも洗い終わったようで、 「レン、風呂に入ろうか」 と声かけてくれた。 連れられて行った浴槽は見た目よりずっとずっと深そうだった。 そういえば、ルーファスさんもレナルドさんも、それにクリフさんもみんな僕よりずっとずっと大きいもんな。 僕は160ちょっとしかないから、ルーファスさんは2m近いかも……。 僕、こっちの女性よりも小さかったりしないよね? それは流石にちょっと凹むかも……。 「溺れると危ないから、抱きかかえるよ」 「え――っ」 驚く間も無く、ルーファスさんに軽々と抱きかかえられて湯船へと浸かる。 うわっ、本当に深い。 ルーファスさんの膝に乗せられてなんとか溺れずに済んでいるという感じだ。 「本当に深いんですね。これが標準ですか?」 「うーん、まぁそうだな」 やっぱりそうなんだ……。 こう考えてみると、21だと言った時に信じてもらえなかったのは僕が童顔というだけじゃなくて、小さすぎたのもあったんだろうな……。 「レン、怖くないか?」 「ふふっ。大丈夫ですよ。ルーファスさんに抱っこしてもらってるので、溺れる心配もないし全然怖くないです」 「そうか、ならよかった」 「ルーファスさんのこの身体はずっと鍛えてるんですか?」 「んっ? ああ、そうだな。身体の鍛錬は毎日の日課だからな」 「へぇー、すごいですね。じゃあ、僕も明日から一緒にやっても良いですか?」 「えっ? レンが……身体を鍛えるのか?」 「はい。ずっとルーファスさんみたいな身体に憧れてたので、僕も頑張ればなれるかもしれないでしょう?」 そういうと、ルーファスさんは黙ったまま、僕の腕にそっと触れた。 「細いな……」 「えーっ、これでも頑張って腕立て伏せやってみたり、(おもり)を持って筋トレ……鍛錬やったりしてたんですよ!」 でも正直言って全然効果は出てない。 さっき触れられた二の腕もルーファスさんの親指と人差し指でくっついてしまいそうだったし……。 いや、でもあれは僕の二の腕が細いんじゃなくてルーファスさんのてが大きいんだ……。 そうだ、そうに決まってる。 「レンには少し難しいかもしれないな」 「そんなに大変な鍛錬なんですか? わっ――んっ? あれ? これ、何?」 「――っ! レンっ! それは――っ」 びっくりして身を乗り出した時にルーファスさんの膝から落ちそうになって慌てて手で押さえようとしたら、ルーファスさんのお腹の辺りに硬い棒のような感触があった。 なぜか焦っているルーファスさんが気になりながらもそっと下に目を向けたけれど、お湯に色がついていて中の様子は全然見えない。 「ルーファスさん、何か持ってるんですか? 全然見えない」 「――っ、い、いや。レンが気にするようなものじゃないから、その手を離してくれないか?」 ゆっくりと手を握られてその棒から離される。 僕の腕くらいはありそうな大きな棒だったけど、なんだったのかな?

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