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第4話

それから更に数時間後……。 そんな暗闇の中を俺は1人歩き回っていた……。 不思議と腹は減ってない。俺はスマホのライトで足元を照らしながら無心で歩き続けている。 それから更に少し時間が経ったその時……。 前方に、一筋の光が差し込んでいる事に気づき、俺は警戒しながらもその光が差し込んできている場所へと足を進める。 ゆっくりとそれに近づき、そして正体に気づく。 「これは……灯籠?」 頑丈な石畳の壁に、木で出来た扉…。いや、立派な門だ。俺はその石に手を触れる。 それはひんやりと冷たいのだが……この冷たさが、俺にとってはとても心地よかった。 俺はもう一度門を見る。……普通の家だな。いや、普通どころか……立派な豪邸じゃないか? 暗がりで余り見えにくいが、コレが家なら相当デカいぞ。(これ、ゴーストハウスとかじゃねぇよな?)一瞬、嫌な予想が頭に過る。いや、でも明かりが点いてるんだから誰か住んでいるんだろう。 ……門には鍵がかかっていない。 どうやら閂が掛けられていただけで、鍵はかかっていなかったようだ。まあ、掛かっていたらこじ開けるんだけどな!俺は門を押すと、意外とあっさりと開いたので中に入る事にした。……いやいや、あっさり開くなよ! ちょっとセキュリティが甘いんじゃないのか? それともこんな夜遅くに訪ねてくるような奴なんていないと思ってるのか? 門を潜り周囲を見渡してみたが、明かりは点いておらず人の気配もない。やっぱり留守なのか? それとも何かあったんだろうか?不安が過る。 暫く歩くと、村らしき集落に辿り着いた。 (廃墟?)と思ったが、意外と建物がしっかりしていて、人が住んでるのが窺える。 「すみませーん」と声をかけてみるが、返事は返ってこない。 (そうだよな。こんな夜遅くに人が出歩く訳無いか…) 内心凹みながも、探索がてら集落を歩き回る事にした。すると、こんな真っ暗な時間帯にも拘らず、畑仕事をしている音が居る事に気づく。 俺は警戒しながらも「あのー、ちょっとお尋ねしたいんですけど──」恐る恐る声をかけてみた。 男は俺の声に気づき、ジロッとこちらを見たかと思うと、そのまま足早に立ち去ろうとした。 「──って、ちょっと待ってくださいよ!」 慌てて呼び止めると、男は立ち止まりこちらを振り返る。 「……誰だ?」 コチラを警戒している様だ。 「あのー……実は道に迷ってしまいまして」と説明するが、男は「そうか」と言って再び歩き出そうとする。 「いや、ちょ、ちょっと待ってくださいよ!」 再び呼び止めると、男は面倒くさそうに立ち止まり一言。 「……何?」 どうやらかなり無愛想な人のようだ。まあでも、よそ者に警戒しているだけなのかもしれないけど……。 俺は少し考えてから質問を口にした。 「……実は道に迷ってしまったんですけど、ここはどこなんですか?」尋ねるが、彼は無言のままだ。 「……あの、道は分かりますか?この街から出られる道を教えて欲しいのですが……」 「……知らん」と短く答える。 「ええと、そうですか……それじゃあ、あなたはこの辺りに住んでらっしゃる方ですか?」 すると彼は再び口をつぐんでしまった。どうやら会話を続けるつもりはないようだ。 (困ったな……どうしよう) 悩んでいると、不意に前方から光がぼつぼつと現れだす。(何だろう、アレは)不思議に思い、目を凝らして見つめてみると、不意に隣から「この村には余所者を歓迎する村人は誰一人、居ない。だから早く消えろ」と言われた。 (は?何それ。そこまで言わなくいいじゃん)内心イラつきながらも(もうこの人には聞かない) 俺はとりあえず彼に謝ってからその場を立ち去ろうとしたが、その時ふと思いついたことがあって足を止める。 「あの…」もう一度振り目線を向けた時、そこには誰も居なかった。 何処かで門がゆっくり開き始める────…。

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