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第6話
住職さんから誂われた俺はご立腹。俺が今まで遭ってきた理不尽は一体何だったんだ!?
住職「で、その話を真に受けてビビってた君は、今現在ご立腹と。少しは緊張が溶けたんじゃないのかい?」(言われてみれば…、ホントだ)
さっきまで、不安でしょうがなかったけど、住職さんと話して少し肩の力が抜けた気がする。
住職「ちなみに、私も修行時代にはこの程度の理不尽は日常茶飯事だったよ。もっとヤバいのだってあった」
「え?マジっすか?」
住職「ああ。私の時代はまだここまで文明が発達していなかったからね」
………。
他愛もない会話をしながら、ようやく住職さんのお寺にたどり着く。住職さんとが門を開け、中に招かれる。
素直に門を潜り住職さんの後を付いて行くと、玄関らしき場所に到着。住職さんが懐から取り出した鍵を、鍵口に差し込みカチャッと音がなる。
スライド式の玄関口が、音を立てて手動で開ける。
住職「さあ入って」
「お邪魔します…」
俺は、住職さんに先導されるように玄関を上がる。すると、中から白装束を着た青年が顔を出した。
青年「ご住職がもうお帰りになるのかと思っていましたのに、お若くて美しいお客様を連れて来るなんて」
「はは、お世辞が上手だな」そう笑って、住職さんが俺を振り返った。
住職「うちの見習いでな。何かあれば彼に言ってくれ」
青年「見習いの、さきと申します。以後、お見知りおきよ」深々とお辞儀をし、ご丁寧に挨拶までしてくれたさきさんが俺を見てニコと微笑んでくれた。
「あ、初めてまして。俺の名前は佐久間 魁斗って言いますッ!」俺は少し気圧されながら会釈を返した。
さき「それではこれで、失礼します」
軽く頭を下げ、さきさんはどこかへ去った。
住職「では私達も行きましょか。案内しますね」
そう言って住職さんは歩きだす。俺もその後についていくと、離れの一室に案内された。
住職「ここがあなたの部屋になります。もう布団は敷いてありますので、ゆっくりなさって下さい」そう言って住職さんは部屋から出て行く。
住職さんにお礼を言い、俺は置いてある座布団に座った。
「ふぅ……なんか疲れた……」
一息つくと一気に疲れが襲ってくる。
そして今日の出来事をゆっくりと思い出すのだった。
……。
まず目が覚めて見知らぬ場所に居り、途方にくれていると喋る猫と会話して、その後怪しげな村に着いて、今は住職さんのお寺に案内されて今に至る。
「ハァ……、考えても訳わかんねえ。
コレが夢なのか現実なのか、はたまたゲームの世界とか異世界とか…。普通に考えても俺の今後の未来が読めねえ…」(家に帰りたい。出来ればコレも夢であって欲しい…)
「響介、元気してっかな…」
(不意に思い出した幼馴染の顔。今は馴染の顔が恋しい)俺が一人しんみり考え込んでると、隣からまたも声が聞こえてきた。驚き、声のする方へ顔を向けるとそこには、喋る猫が俺の袖を引っ張ってきた。
黒猫「おい!聞いているのか?」
俺は喋る猫の声でハッと我にかえる。「ああ……、済まないな。ちょっと考え事してた」
(いやいや、普通に考えても猫と喋れるって普通じゃなくない)
つーかこの喋る猫は一体なんなんだ?そしてここは何処なんだ? 謎だらけだ……。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!君の言ってる事が少し理解出来ないんだ……。1つずつ整理していかないか?」俺は猫にそう尋ねる。すると猫はキョトンとした顔で答える。
黒猫「ん?何を仰ってんの?最初から何一つご説明してないでしょ?」
(いや、それもそうなんだけど)
「じゃあ説明してッ!
此処は何処で、何で俺はこんな場所にいるのか。どうして猫が喋れるのかもッ⁉全部俺に説明してくれよ…」そんな俺の言葉に対して、黒猫はキョトンとした顔をする。
黒猫「おーっと……。どうやらご主人サマに一杯食わされたよ」
(は?)今起こった事の全てに理解が追い付かない俺は、頭に疑問符を浮かべながら問う。
「はぁ?」
すると猫は俺に対して、今度は逆向きに小首をかしげて質問してくる。
黒猫「ん?逆に、何でご主人サマは今此処に居るの?」
(質問を質問で返すなよ)
「知らねーよ。気づいたらここの森の中で目を覚まして、知らない場所に土地勘もねえーのにずっと彷徨って、そしたらお前に出会った。そう喋る猫にだ。
コレが夢じゃなきゃ、俺は頭が狂いそうだ」
黒猫「狂うにはまだ早いんじゃない?」
「ソレはどういう意味だ」
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