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 メフィストは確信が持てたのか、苺の後ろに回り、浴衣の襟に手を差し込んだ。苺はビクッとし、浴衣を握り締めた。 「んっ!」 「へぇ、意外と初々しくて、可愛い反応すんだね。ぶつかってきたのはてっきり作戦かと思ったけど、違うみたいだね」 「い、いけません……。お、お客様にはまず体を洗っていただいて――」 「俺の名前はメフィスト」 「メ、メフィ? メフィスト様、どうかまずはお体を……」 「じゃぁ、苺ちゃんが俺の体を洗ってよ?」 「い、苺がメフィスト様のお体を洗うのですか!」  メフィストは顔をニヤけさせ、苺の胸を触り、後ろから苺の表情を観察する。苺は渋々承諾し、浴衣を脱いだ。  苺の肌は白く透き通っており、痩せ過ぎず、太り過ぎず、適度な肉づきだった。今まで何人もの人間を抱いてきたメフィストにとって、苺の体は野ウサギのような可愛らしさがあり、思わず抱き締めてしまった。 「メ、メフィスト様!」 「あーっ、あったけぇー。苺ちゃんは野ウサギみてぇで可愛いな! しかも、これで男だろ? 何百年も生きてるけど、こんな子供がいるとはな!」 「あ、あの!」 「ん? なんだ?」 「わ、私は子供じゃないです。これでも十九になります……」 「マジか! でも、俺にとっては子供だな。それにしても、肌ももちもちスベスベ! このまま喰っちまいたい」  メフィストは苺の前にしゃがみ、口角に指を引っ掛け、自慢の八重歯を見せ、ニヤついた。 「……わ、私を食べても、お、美味しくはありません」  大抵の人間なら怯えるのだが、苺はチラリと見ると、頬を赤くし、体をモジモジさせた。その反応にメフィストは変に興奮した。 「それは『どうぞ味見してください』って事か?」 「――えっ! ち、違います! 苺はただ!」  必死に訂正しようとする苺もまた可愛く、メフィストは抱き締め、頬を擦り付けた。そして、軽々と苺を持ち上げると、洗い場まで行き、座面がU字に凹んだ木製椅子に腰掛けた。 「さ、俺の体を洗ってもらおうかな」 「……は、はい。畏まりました。至らない点がありましたら、なんなりと仰ってください」  苺は風呂桶で湯船から湯を汲むと、メフィストの体を流した。そして、固形石鹸を使い、泡を作り、メフィストの引き締まった体を手で洗い始めた。 「あ、あの……」 「ん? なんだ?」 「傷の部分は染みたりしないですか?」 「あぁ、大丈夫だぜ。相当昔の傷だし、傷跡が酷いだけだ。もう治ってるし、全然大丈夫だ。……なんだ、怖いのか?」 「いえ、そんな事は……」  苺は頬を赤くし、小さな手で背中を洗い、次にメフィストの正面に立ち、首や胸を洗った。苺が手を滑らすように触ると、メフィストは思わず声を出した。苺は驚き、思わず手を離した。 「――ぐぅっ!」 「っ! すみません!」 「いや、大丈夫。ちょっとくすぐったかっただけ」  メフィストは苺の頭をわしゃわしゃと撫でて、ニカッと笑った。苺は目を泳がせながら、跪き、腹部や両足を洗った。そして、残るは股のみとなった。苺は胸に手を当て、深呼吸すると、恐る恐る手を伸ばしてきた。 「し、失礼します……」  苺がそう言うと、椅子の凹みに腕を通し、ゆっくりとメフィストの股を洗い始めた。メフィストは苺の濡れた髪や吐息が体にかかり、更に苺のぎこちない触り方で身震いしそうで必死に耐えた。

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