22 / 63

3-13

「月下、ありがとう。ここは次の予約は出来るのか? あと、コースや値段を知りたい。そういうのを聞く事は出来るのか?」 「はい、勿論でございます。正面玄関の番台に細見がありますので、お渡し致します。メフィスト様からは揚代を多く頂いていますので、次にいらっしゃった時は茶菓子のサービスをさせて頂きます」  月下の先導で、二人は正面玄関の番台へ移動した。メフィストたちの足音に聞き耳を立てていたのか、番台で帳簿を書いている女将がこちらを振り返る。 「女将、メフィスト様がまたこちらへ伺いたいとおっしゃっていますので、細見を一枚。それと、次回いらっしゃった時に茶菓子をお出ししようと思いますが、いかがでしょうか?」 「そうね。それよりも苺は殿方にきちんとおもてなしをしたんでしょうね?」  女将は苺を睨み付けるように見ていた。苺は体をビクッとさせ、体を縮こまらせ、メフィストの後ろに隠れた。 「女将さん、そんな怖い顔をされたら、美人が台無しですよ。苺ちゃんは俺にしっかりとおもてなしをしてくれましたよ」 「あら、美人だなんて……。苺がきちんと対応出来たのならいいわ」  メフィストは次の予約と指名を入れた。メフィストが玄関を出ようとすると、三人が外まで見送り、横一列になり、深々と頭を下げた。 「メフィスト様、帰りの道はお分かりですか? もし、差支えなければ、ご案内いたしますが……」 「大丈夫。細見にも道のりが書いてあるし。またお世話になります」  メフィストは三人に手を振り、ゲートを目指した。他にも色々な場所を観光したかったが、空を見上げると、すっかり日が傾き、オレンジ色の空が広がっていた。 「今日の事をアイツに話したら、驚くだろうな。そして、あれ以来『遊び』に自信を無くしたアイツのために、何が何でもここに連れてきてやる」  市場に到着すると、香ばしい香りと甘い香りが露店から漂ってきた。  メフィストは土産兼食事として、焼き鳥と焼きそば、いちご飴などを適当に買い、来た時のゲートを潜り、扉を開け、旧魔王城地下へ戻って来た。メフィストは漆黒の翼を広げ、ストラス城まで滑空した。

ともだちにシェアしよう!