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4-1(メフィスト視点↓)

 メフィストはストラス城へ到着し、城内へ入った。相変わらず閑散としていて、静かだ。  ストラスはメフィストと同じ四天王だが、魔王から気に入られ、四天王の中で一番に勢力があった。  しかし、魔王が居なくなってからは四天王戦争や他の魔族の争いが激化した。だが、元々、争いごとが嫌いなストラスは城の防衛強化だけをし、最前線には立たなかった。それに対して、部下達は不満を漏らし、徐々に他の魔王へ寝返り、今ではストラスに助けられた獣魔一体だけが城の門番をしているのだ。  メフィストはいつものように書庫へ向かい、扉を開けた。 「おい、ストラスいるか?」  書庫は部下達が居なくなったのを良いことに、ストレスが魔法で部屋の壁をぶち抜いて、玉座の間まで繋ぎ、端から端まで本棚が並んでいる。だから、ストラスを探すだけでも一苦労する。だからといって、大声で名前を叫ぶと、ストラスは不機嫌になるため、メフィストは適当にブラブラしながら、ストラスを探した。  探していると、大型犬サイズになった獣魔オルトロスが食べ物の匂いに誘われ、近付いてきた。  オルトロスはメフィストが持っている紙袋に鼻を近付け、匂いを嗅ぐと、紙袋に噛みつこうとした。メフィストは咄嗟に紙袋を持ち上げた。オルトロスは涎を垂らしながら、メフィストの前で飛び跳ね、何度も吠えた。 「おい! お前は食いもんの事になると、急に元気になりやがって。後でお前にもやるから、大人しくしろ。そんなに吠えたら、ストラスに怒られるぞ」  メフィストが宥めていると、八列目辺りから本が勢いよく閉じられる音が聞こえた。そして、ゆっくりとした足取りで、ストラスが姿を見せた。 「オルトロス、うるさいぞ。――なんだ、メフィスト来ていたのか」 「この前、お前に話した天空都市へ行ってきたぞ。それを証明するために、お前が好きそうな古書と食いもんを持ってきたぞ」  メフィストはストラスに向かって、買ってきた古書を投げ渡した。ストラスは「書物は大事に扱え」と不満を漏らし、受け取った古書に目を通した。そして、奥付を見て、目を大きく見開いていた。 「こ、これはどうしたんだ? この世にもう存在しないものだと思っていたが、まさか……」 「へへっ、喜んで貰えたみたいだな。それより、飯食おうぜ」 「あぁ、分かった。食堂へ行こう。そこで、天空都市についても話を聞こうじゃないか。折角だ、ワインを出そう」 「おっ、気が利くじゃねぇか」  オルトロスを引き連れ、二人は食堂へ向かった。ガランとした薄暗い食堂に着くと、ストラスは指を鳴らした。そうすると、蝋燭に火が灯り、食器等が隣の部屋から飛んできて、テーブルの上へ並んだ。最後に、ワインとワイングラスが踊るように飛んできた。二人は席に座り、注がれたワインで乾杯をした。 「ワインが美味い!」 「それはそうと、早く話を聞かせてくれないか?」  いつも無表情か不機嫌なストラスが少し身を乗り出し、表情を少し柔らかくし、今か今かと待ち受けていた。

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