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メフィストは急かすストラスを宥め、焼き鳥と焼きそば、いちご飴を皿に並べた。そして、オルトロスには串を外した焼き鳥を皿に出し、与えた。オルトロスは匂いを嗅ぎ、美味しそうに食べ始めた。
出された食べ物を不思議そうに見つめるストラスに、メフィストは自慢気に食べ方などを教えた。
「実に興味深い食べ物だ。鳥を焼いたものは香ばしくて、甘辛いソースがかかっているのか。このパスタも実に面白い味付けだ。それに、この果実? ガラス細工みたいなのは……食べて大丈夫なのか?」
「いちご飴だってよ。他にはリンゴ飴もあったぞ。砂糖菓子みたいなもんだよ。デザートらしい」
「ほぅ。この菓子を考えた人物はかなり芸術性に長けているのだろう……」
「ま、天空都市がどんな場所だったか話してやるよ」
「あぁ、頼む」
メフィストは天空都市が種族関係なく生活している事や平和で穏やかな都市であった事を話した。ストラスは食事を楽しみながら、メフィストの土産話を聞いていた。
「それで、他に何があったんだ?」
「おっ、珍しいね。お前が俺のどうでもいい話に食いついてくるとは。いつもは適当に流す癖に」
「どうでもいいとは思ってないぞ。つまらないだけだ。それで、他に興味を引くものはあったのか? ほら、ワインならまだ沢山ある。飲め」
「なんだよ。お前は本当に……。まぁ、いいや。美味いワインが飲めるんだ。お前の気が済むまで話してやるよ」
メフィストは新たに注がれたワインを飲み、ワイングラスを少し持ち上げ、蝋燭の灯りに照らし、ゆっくりと回した。まるで熱を帯びた苺の頬の色に似ているようで、思わず口角を片方だけ上げ、鼻で笑った。
「なんだ、思い出し笑いか? そんなに良かったのか?」
「あぁ、とても良かった。俺達にとっては子供に過ぎないけどな」
「子供もいるのか」
「あぁ、賑やかな市場を抜けた先にある秘密の場所。今まで見たことがない空間が広がっていて、時間が止まったような場所だった。俺はそこで苺という人間に会ったんだ」
「いちご? この砂糖菓子の名もいちご……だよな?」
「そそ、このいちご飴のように、小さくて、艶があって、甘酸っぱい香りと味、濡れたような唇に、みずみずしい色白の肌が熱を帯びて、俺を酔わせてくれた。最後まで味見出来なかったのは残念だけど……」
メフィストは甘いため息をつくと、顔をほころばせ、遠くを見つめた。思い出にふけっていると、ストラスが肩を何度か揺さぶってきた。
「すまんが、全然理解出来ない。なんだ? お前は人間……しかも、幼子を喰ってきたのか? 信じられん」
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