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苺が顔を上げると、ストラスは微笑み、自分の髪を優しく撫でてきた。その笑顔はぎこちなく、苺は胸が締め付けられるような気持ちになった。
「なんだか苺を困らせてしまったな。私の知識不足なだけだ。……申し訳ない」
「そんな謝らないでください! 謝られると、苺は心苦しくなります。月下お兄様が苺達のために粋な計らいをしてくださったのはとてもありがたいと思うのですが、かえってストラス様にご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ありません」
苺は姿勢を正すと、ストラスに深々と頭を下げた。
「苺が謝ることない。――ほ、ほら。私が買った本でも見て、互いに悩みを解決出来る事をやろうではないか。私だけが悩みを解決しては不公平だとは思わないか?」
「それは……。苺のことは気になさらずに。ストラス様は他の男娼達にも人気ですし、別に苺で無くても良いと思いま――」
何処となく切なそうな顔を浮かべてしまったのだろう。ストラスが急に押し倒してきた。苺は目を見開き、ストラスを見た。ストラスは悲しげな顔をし、自分の事を真っ直ぐに見ていた。
しかし、苺は顔を横に向け、ストラスから視線を逸らした。
「何故、顔を背ける?」
「……苺はストラス様の悩みをお聞きしたにも関わらず、ストラス様のように悩みと向き合ったり、自分で解決策を探ろうとはせず、ストラス様や月下お兄様に甘えてばかりです。こんな苺がストラス様のお相手をするのは間違っていると思いまして。――ほら、今なら他の男娼に変える事が出来ますよ。絶対にそちらの方がストラス様のためになります」
苺が愛想笑いすると、ストラスは深くため息をつき、起き上がった。
「はぁ……。私にもう一度、恥をかけと言うのか?」
「ち、違います! ストラス様は悩みが解決した訳ですし、苺の悩みを解決するためにお時間を割くのは勿体無いと言いますか……」
「誰のお陰で私の悩みが解決したという? 私は苺だから、心が許せたし、再び勃つ事が出来た。苺も心が許せる者にされた方が安心だろう? まぁ、先程の発言からするに、私の事をそういう者だとは思っていないようだが……。本当に人間が考える事は何年経っても分からない」
「苺も本当はストラス様にして頂きたいですけど……。い、苺の悩みは下の話ですし、汚い部分なので……」
「そんなの見てみないと分からないだろう? あと、体は常に清潔にしているではないか」
「そ、そうですが! なんと言いますか、……恥ずかしいと言いますか」
「それは私とて同じ事だろう。私のモノも見たんだ。苺の悩みの種という部分を見せてみろ」
「えっ! い、今ですか?」
苺は頬を赤くし、飛び起きた。ストラスは真剣な顔をし、苺を見つめていた。苺が説得しようとしたが、ストラスは首を横に振るだけだった。
苺は仕方なく、ストラスにお尻を向け、四つん這いになると、服をたくし上げた。そして、ゆっくりと下着をズラした。
「別に汚くないではないか」
「そうですが……。あと、そんなにジロジロと見ないでください」
苺はお尻をモジモジさせながら、両手で隠そうとした。その間、ストラスは本を開き、苺の悩みが解決しそうなページを見つけ、その見開きのページを苺が見える場所に置いた。
「この章に書いてあるみたいだ。苺も参考になると思う。私はそれに従って、苺の悩みを解決する。さっ、読んでくれ」
「苺が読むんですか!? ……わ、分かりました。この格好のままも恥ずかしいので、……読みます」
苺は自分の顔の下に本が来るように置くと、四つん這いになった。そして、苺は一度咳払いをすると、本を読み始めた。
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