43 / 44
番外編1
「やばっ、もうこんな時間か…」
悠哉は時計を見るなり焦りを覚えた。ベッドの上に乱雑に置かれている衣服たち、その中から黒いトレーナー、そして白いパンツを手に取った悠哉はいそいそと着替え始めた。
これから彰人が家に来る。彰人と付き合い始めてから数回目のお家デート、生憎外出がそこまで好きではなかった二人は今日も悠哉の家でゆっくりしようという予定だった。
着替え終わった悠哉は鏡で自分の姿を改めて確認すると、おかしい所はないか念入りにチェックした。今まで自分の容姿について気にしたことなどなかったというのに、彰人と付き合い始めてからは容姿はもちろんファッションにまで気を遣ってしまっている。少しでも彰人によく見られたいからだろうか、恋をすると人はここまで変わるのだと悠哉は自分自身で実感した。
「ピンポーン」とインターホンの音が聞こえたと同時に悠哉は部屋を出て階段を下りると、玄関へと向かった。悠哉が扉を開けると、そこには金に近い髪色、そして青い瞳をした悠哉よりも十センチは高い身長をした男、神童彰人が今日もとびきり男前な表情で立っていた。
「おはよう悠哉」
「はよ、ってもう昼だけど」
悠哉は彰人を家に上げるとリビングへと招き入れた。「適当に座ってて」と言い悠哉が冷蔵庫の中からお茶を取り出し二人分のコップに注いでいると、突然背後から彰人にギュッと抱きしめられた。
「なんだよ急に…っ?」
突然の彰人からの行為に悠哉が顔を赤くさせわたわたと動揺していると、そんな悠哉の姿に彰人はふっと愛おしそうに微笑んだ。
「恋人なんだからこれぐらい普通だろ?な?」
彰人の手が悠哉の頬に添えられ、悠哉の顔は自然と右を向かされる。気づいた時には彰人の顔が間近にあり、悠哉の顔は茹でダコのように耳まで真っ赤になってしまっていた。ちゅっと彰人の唇が降りてくる、柔らかい唇の感触に悠哉は思わずぎゅっと目を瞑り「んっ…」と意図しない声を出した。すぐに唇は離されてしまい、悠哉は瞳を開け物足りないというような表情で彰人の唇を凝視してしまう。すると彰人はまた悠哉の唇を塞ぎキスをした。今度はもっと濃厚なもので、彰人のキスに溺れるような感覚を覚えた悠哉は抵抗する暇などなく、キスの気持ちよさに震える足でなんとかキスにこたえる。
「ふっ…んぅ…っ」
舌を絡み取られ、ゾクリとした感覚が悠哉を刺激した。舌の感触がなんとも言えない興奮を悠哉に与えていき、悠哉の瞳には快感から涙が溜まっていく。濃厚なキスを交わした二人はどちらともなく唇を離すと、一本の唾液が二人の唇からつーっと紡がれた。
「んっ…はぁ…っ」
悠哉はがくりと崩れ落ち、床の上へへにゃりと座り込んだ。
「おい、大丈夫か?」
「誰のせいだよ…」
しゃがみ込んだ彰人は心配そうに悠哉の顔を覗き込み、悠哉の口元に垂れてしまっている唾液を自分の指で拭った。それだけでも悠哉の身体はびくりと反応してしまい、悠哉は最悪だと思った。
「お前は本当にキスに弱いな」
彰人の言葉にムッとした悠哉は「いきなりこんなキスすんなよ…っ!」と眉をキッと吊り上げる。
「しょうがないだろ、軽いキスで済ませるはずだったのにお前が物足りないとでも言っているような顔をするから俺も歯止めが効かなくなった」
「はぁ?!誰がそんな顔するかよ…っ!」
恥ずかしさのあまり大声で悠哉は反論した。図星だった、確かに触れるだけのキスをされたときもうおしまいなのか、と少し物足りなさを感じていた。しかしそんなこと素直に打ち明けられるはずもなかった悠哉は急いで立ち上がり二人分のコップを持ちソファに座った。
最近の悠哉の悩みは二つあった。その一つが彰人のキスが上手すぎることだった。彰人と付き合ってからまだ数週間、それでも彰人は悠哉にキスしてくる事がかなり多かった。それは触れるだけのキスで終わることもあるが、今みたいに悠哉の腰が砕けてしまうほど濃厚なキスの時もある。そう、そんなキスをされては毎回悠哉はへにょへにょの骨抜きにされてしまうのだ。
悠哉は彰人にされるまで、そんなキス知らなかった。食べられてしまうのではないかと思ってしまうほどの噛み付くようなキス、舌を絡み取られ決して逃がしてはくれないディープなキス、そして悠哉の口内を犯すような情熱的なキスは全てが悠哉にとって快感へと繋がってしまっていた。
「俺が悪かった、だから機嫌を治してくれ」
彰人が悠哉の隣へ腰を下ろすと、悠哉の左手を軽く撫で上げた。そんな軽い触れ合いでも悠哉の身体はびくりと反応してしまい、咄嗟に彰人から顔を背ける。
気づかれていないだろうか…?と不安に思いつつ、悠哉は自分の下半身のことが気になってなかなか彰人の顔を見ることが出来なかった。
もう一つの悠哉の悩みというのが、彰人にキスをされると必ずといっていいほど下半身が反応してしまうのだ。悠哉自身性欲などほとんどないと思っていた人間で、自慰行為だって月に数回ほどしか行っていなかった。そんな悠哉が彰人とのキスに興奮し勃起させている、悠哉からしたら前代未聞のことだった。
しかし、大きな問題が一つあった。それは彰人があれから一度もキス以上のことをしてこないということ。文化祭当日、ようやく恋人同士になった二人は初めて身体を重ねあった。悠哉にとっては初めてのセックス、最初は緊張でどうにかなってしまいそうだったが、彰人に対する愛おしいという気持ちが上回ってしまい最終的にはお互いが愛し合う最高のセックスが出来たと悠哉は思っている。しかし、あれ以来彰人とは一度もしていない。何度かそういう雰囲気にはなったものの、セックスにまで発展することはなかった。
あんなにエロいキスはするくせに手は出してこない、悠哉からしたらずっとお預けをくらっているようなものだった。
欲求不満なのだろうか、最近は彰人のことを考えるとすぐにあの時のセックスを思い出してしまい一人で抜いてしまっている。いつから自分の身体はこんなにも敏感になったのだろうか、悠哉は不思議で堪らなかった。
「悠哉…?そんなにさっきのキスが嫌だったのか…?」
何も言わない悠哉を不審に思った彰人が不安そうな顔つきで悠哉の顔を覗き込んだ。
「…っ別にキスが嫌とかそういうわけじゃ…」
「じゃあなんで俺の方を見てくれないんだ」
お前があんなエロいキスするから勃っちゃったんだよ…!とは言えずに、悠哉は言葉に詰まってしまった。耐えられなくなった悠哉は「俺ちょっとトイレ」と言って立ち上がった。
「ちょっと待て悠哉」
すると彰人が悠哉の腕を掴み、自分の方へと引き寄せる。それによって悠哉はバランスを崩してしまい、彰人の上へ跨るような形でソファの背もたれに両手をついた。
「…っなにすんだよ…!」
「悪い、お前の様子が変だから…悠哉、お前…勃ってるのか…?」
彰人の視線が悠哉の下半身へと向き、盛り上がっている下半身を凝視している。悠哉の身体はボボボボっと体温を上げていき「ちがっ…これは…っ」と急いで彰人の上から退こうとした。
しかし「待て」と制止した彰人に腰を掴まれてしまい、悠哉は身動きを取れなくなってしまう。
「もしかしてさっきのキスでこんなになってしまったのか?」
「…〜〜っ」
恥ずかしさで悠哉は何も言えなかった。彰人にバレてしまった、悠哉は唇を噛み締め、瞳には羞恥から涙が溜まってしまっている。
「悠哉そんな顔しないでくれ、俺はお前をいじめてるわけじゃないんだ」
彰人が悠哉の頬にそっと口付けをすると、悠哉の涙腺は途端に切れてしまい、ポロポロと瞳から涙が溢れた。
「お前の…っお前のせいだからな…っ!あんなエロいキスしておいて、全然手出さないじゃん…っ俺だけ興奮してバカみてぇ…っ」
悠哉は溜め込んでいたものを全て吐き出すと、目元を腕でグイッと拭った。
「お前のせいで俺の身体変なんだよ…お前に触れられるとすぐ熱くなるし、キスされただけで反応しちまう…っ責任取れよな…っ!」
「悠哉…」
彰人は驚いたように瞳を丸くして悠哉を見ていたが、すぐに自分の顔に手を当て「ちょっと整理させてくれ…」と呟いた。
「手を出してもいいのか…?」
「はっ…?何言ってんだよ…もう手出してるだろ…っ」
「それはそうだが…見境なしに盛ってお前に引かれても困るだろ?それにお前は性行為にさほど興味がないと俺は思ってたんだ、俺としてはお前と付き合えているだけで十分過ぎるからあと一ヶ月は経たないと手は出さないと心に決めていた」
彰人のまさかの告白に、悠哉の涙はピタリと止まった。このまま黙っていたら最低でも一ヶ月、お預けをくらうことになっていたとは思いもよらなかった。
「一ヶ月も手出さないつもりだったのか…?」
「ああ」
「初めてシたとき、俺嫌そうだった…?」
彰人との初めてのセックス、悠哉自身はちゃんと気持ちよくなれたと感じていた。しかし彰人から見たらそうではなかったのだろうかと不安になった悠哉は、恐る恐る彰人に問いかけた。
「いや、そんなことは無かった。むしろすごく良さそうだった」
そう言った彰人の顔は緩みきっており、聞くんじゃなかったと悠哉は後悔した。小さな声で「馬鹿…」と悠哉が呟くと、彰人の手が悠哉の頬に触れる。
「だけどお前は人一倍性行為に嫌悪感を抱いてただろ?軽率にお前を抱いて傷つけたくなかったんだ。悠哉のことを大事にしたいから尚更な」
大きすぎる彰人の愛情に、悠哉は目眩がした。こんな風に彰人が思ってくれていたなんて、と悠哉の胸はいっぱいになった。
「しかしお前がここまで俺を求めてくれていたとはな、キスの度にこんなになってたのか?」
悠哉は彰人に股間をやんわりと撫でられ「あ…っ」とつい声が出てしまった。「うるさい…っ」と恥ずかしさで彰人の顔を直視できない悠哉は顔を背けた。
「お前があんないやらしいキスするのが悪いだろ」
「お前が良さそうにするからついな、俺とのキスに感じたのか?」
彰人は悠哉の唇を指で撫でた。ゆっくりと撫であげる指の動きに悠哉の興奮は高まっていき、逆上せているような熱さが全身を包んでいるようだった。
「どうして欲しい?」
意地悪にそう聞いてくる彰人の瞳は、情熱的にゆらゆらと揺れていた。「分かってるくせに…」と未だに彰人の顔を直視できない悠哉は「キス…して…」と彰人の胸元をギュッと握った。
「んっ…」
彰人に唇を塞がれる。彰人の熱を帯びた唇が悠哉には媚薬のような興奮を与え、またたく間に悠哉の下半身は大きくなっていく。すると彰人の右手がトレーナーの中に入り込み、悠哉の素肌をいやらしくなぞった。軽く触れられるだけなのに、その小さな刺激が余計に悠哉を興奮させた。
一度唇が離されると「服の裾、持っててくれ」と言われたため、悠哉は彰人の言う通りに服を捲りあげた。胸元まで捲りあげたために悠哉の肌は丸見えで、まるで自分から見てくれと言っているようで悠哉の恥ずかしさはさらに増していった。
「あ…っ揉むなよ…っ」
彰人の手が悠哉の胸をやんわりと揉みだした。男の平らな胸なんて揉んで何が楽しいのだろうかと悠哉は不思議に思ったが、彰人の手が乳首に触れる度、悠哉の口からは「んぅ…っ」と甘い声が漏れ出る。
「乳首、感じるのか?」
「はぁ?!そんな訳ないだろ…っ!」
大声で反論した悠哉に「ふーん」と口角を上げた彰人は悠哉の乳首をつん、と指で弾いた。
「あぁっ…ちょっと…っ」
「感じないんだろ?だったら触っても平気だよな」
彰人は両方の乳首を指で転がすように撫で回した。その度に悠哉の身体はビクビクっと反応してしまい「やっ…彰…人っ」と堪らず彰人の首元へ腕を回ししがみつく。
乳首で感じているなんて、悠哉にとっては理解し難い事だった。こういう目的で乳首を触ったこともなければ、乳首が性感帯という認識すらなかったのだ。なのに彰人に触れられる度にゾクゾクとした快感に身体が疼く。限界だった悠哉は「もう…いいから…っこっちも触ってくれ…」と上から見上げるような形で彰人に訴えた。
そんな悠哉の姿に瞳をギラつかせた彰人は、悠哉のことを抱きかかえて立ち上がった。
「ちょっと彰人…っ?!」
急な彰人の行動に驚いた悠哉は「何すんだよっ!」と彰人に困惑の声を上げたが、そんな悠哉を気にせずに彰人は軽い足取りで二階へと上がって行った。
悠哉の部屋に入った彰人は、そのままベッドへ悠哉を下ろすと押し倒すような形で悠哉の上へと跨った。
「ソファじゃ狭くてやりにくい、それにお前も身体を痛めてしまうかもしれないしな」
悠哉の首筋を舌をつたわせ再び愛撫を再開した彰人に、こういうところ律儀だよなぁ、と悠哉は感心しながら「俺はソファでも別によかったけど」と呟いた。
「じゃあまた今度、別の機会にな」
そう言って悠哉の頭を撫でた彰人は、そのまま悠哉の下半身へと目線を下げると「脱がせてもいいか?」と悠哉の股間をやんわりと撫でた。
「ん…っ」
少し触れられただけでも反応してしまった悠哉は、頬を紅潮させながらゆっくりと頷いた。
彰人に下を全て脱がされた悠哉は、スースーとした感覚にもぞもぞと足を動かしつつ、彰人からの視線に何とか耐えていた。やはりこの瞬間が一番恥ずかしいと悠哉は思った。既に完全に勃ちあがった自分のモノを彰人に凝視されている、こんな羞恥なかなかないだろう。
「すごいな、もうビンビンだ」
「うっさい…っお前だってさっきから勃ってるくせに」
悠哉は足で彰人の反応しているモノをグリグリと押すと「…っ、おい足癖が悪いぞ」と足を掴まれ、そのままガバッと開かれた。
「そんなに開くなよ…っ」
「なんでだ?恥ずかしいのか?」
ニヤついている彰人に「今日のお前…意地が悪い…」と悠哉は頬を膨らませ文句を言った。
「悪い、お前があまりに可愛らしい反応をするから虐めたくなってしまうんだ」
彰人の舌が悠哉の太ももをゆっくりと舐め上げる。ねっとりと柔らかい舌の感触が悠哉を刺激し、段々と自分の息が荒くなっていることに悠哉は気がついた。
「あぁ…っ」
彰人が悠哉のモノに触れる。やっと触れてもらえた喜びに悠哉の身体は一際大きく反応した。彰人の手が優しく、それでも確実に悠哉のモノを刺激する度、先端からは先走りが漏れ出てしまっており彰人の手を汚していた。
「もうドロドロだな、イきそうか?」
「んぁ…っ彰人っ…、彰人…っ」
気持ちよさから急激な射精感に襲われた悠哉は彰人の方へと手を伸ばし「キスっ…」と口にした。
そんな悠哉の可愛らしいおねだりに顔を顰めた彰人は、身体を起こし悠哉の唇へとびきり甘いキスを落とした。彰人は手の動きを早め、じゅるっと悠哉の舌を吸い上げた。
「んぅっ…ッんんっっ」
悠哉は身体を大きく反らせると、己のモノから勢いよく白濁を吐き出した。達した余韻ではぁはぁと悠哉が胸を上下に揺らしていると「気持ちよかったか?」と彰人は悠哉の頬にちゅっとキスをした。
「…ん、お前は…いいの…?」
先程からズボンを押し上げている彰人の大きな自身に目線をやった悠哉は「今度は俺がしようか…?」と聞いたが、「気持ちは嬉しいが俺は後ででいい」と断られた。
「お前にされるのもいいが、今は早急にお前のナカに入りたい」
悠哉の耳元でそう囁いた彰人に、悠哉の頬は次第に赤くなっていく。彰人の低くて甘い声、悠哉はその声にとびきり弱かった。
「ローションの場所を聞いてもいいか?」
「一番上の引き出し、ゴムもそこに入ってる」
悠哉が場所を指摘すると、彰人は引き出しを開け中からローションとゴムを取りだした。そして自分の手のひらにとろっとローションを垂らしたっぷりと指につけると、悠哉の窄まりへ指をあてがった。
「いれるぞ」
彰人の指がゆっくりと悠哉にナカへ入っていく。悠哉のナカはまだ狭く閉じられており、内側から圧迫される苦しさに悠哉は唇を噛み締めた。
「苦しいか…?」
「…別にっ…」
ぷいっと顔を背けた悠哉に「強がるな、苦しかったら素直に苦しいと言ってくれ」と悠哉のおでこに優しく唇を押し当てた。
「…ちょっと、苦しいかも…」
「そうか、教えてくれてありがとな」
悠哉の髪を撫で上げ、なんとも優しい笑みを浮かべた彰人に、悠哉の胸はきゅんきゅんと疼いた。何故自分の恋人はこんなにもかっこいいのだろうと思わず見とれていると、彰人の指が悠哉の腹の方を押し上げた。ナカから押し上げられる感覚に悠哉は思わず「あぁっ…」と甘い声を出してしまい、口を押えた。
「ここが気持ちいいのか?」
「わ…かんない…っ」
彰人の指がぐにぐにとそこを刺激する度、悠哉の目はチカチカと目眩がし、気持ちよさから腰がビクビクと動いてしまっていた。
ナカで感じている悠哉にゴクリと喉を鳴らした彰人は、指をもう一本挿入させると悠哉の前立腺であろえ場所を集中的に刺激する。
「は…っあぁっ、やっ…そこっ…」
「やじゃないだろ?すごく良さそうにしてる」
次第に悠哉のナカを次激する指は激しさを増し、あっという間に彰人の指を三本咥え込めるほどになっていた。
「彰人…っも…いいから…っ」
悠哉は耐えきれず、彰人の下半身の膨らみをぐりっと足で押しやった。「…っ、お前は…全く仕方がないな」と一瞬苦しそうに眉を寄せた彰人は悠哉のナカから指を抜き、衣服を脱ぎ始めた。露になった彰人のたくましい身体を凝視している悠哉は、自分の恋人はなんて男前なのだろうと再び見とれてしまっていた。己のものにゴムを付ける姿ですらカッコイイと思ってしまうほど悠哉は彰人に惚れ込んでおり、俺はどんだけ彰人の事が好きなんだよ、と自分でも笑ってしまいそうだった。一人の男に対してこんなにも熱い感情を持っているなんて少し気恥しさも覚えてしまい、体の熱も上がったように感じる。
「悠哉、いれるぞ」
「ん…」
彰人のモノがゆっくりと悠哉のナカへ飲み込まれていく。自分のナカがだんだんと彰人の形に変えられていく感覚に、悠哉は唇をぎゅっと噛み締めた。
「痛いか?」という彰人の問いかけにふるふると首を振った悠哉だったが、やはり指とは比べ物にならない質量のモノを受け入れるには今の悠哉には少し難しかった。
そんな悠哉や様子に気がついた彰人は、悠哉の乳首を口に含み、再び愛撫を始めた。
「あ…っなんで…胸…っ」
乳首への刺激に甘い快感を感じた悠哉の瞳からは、気持ちよさから予期せぬ涙がこぼれ落ちた。彰人の舌の感触が直に悠哉の肌をつたう巧みな愛撫に、悠哉は身体をドロドロに溶かされているような気分に陥った。
「可愛い…悠哉」
彰人は顔を上げ悠哉の蕩けきった表情を見てふっと微笑んだ。そんな彰人の愛情に溢れきった眼差しに、悠哉のナカはキュッと締りを上げた。
「悠哉…っ、急にナカを締められると俺もすぐ達してしまいそうだ…っ」
彰人は苦しそうな声を上げたが、悠哉の耳にはもはや届いていなかった。そのまま悠哉は彰人に腕を伸ばし「彰人…っもっと…っ」ととびきり甘い声で懇願した。
「くそ…っお前は本当にっ…」
彰人の大きく勃ちあがったモノが勢いよく悠哉の奥を突きあげた。その強すぎる刺激に「あぁ…っ」と悠哉は声を上げると、軽くイッてしまったような感覚に悠哉は目をチカチカとさせた。
彰人の腰が上下する度、悠哉の気持ちのいいところを突いてくる。まるで悠哉の身体の全てを知り尽くしているような彰人の腰使いに、悠哉は甘い声を出すことしか出来なかった。
「彰人っ…彰人…っ」
悠哉は彰人の背中にしがみつき、迫り来る快感の余波に身を強ばらせた。
「彰人っ…もう…っ」
「は…ぁっ、俺もだっ…悠哉っ好きだ…っ」
彰人の切羽詰まった低い声が悠哉の鼓膜を刺激した。その瞬間、悠哉は「あっ…ああっっ」と身体を大きく仰け反らせ、己のモノから勢いよく白濁を吹き出した。彰人も同様に低い声を漏らし、悠哉のナカへ熱を吐き出す。
イッた疲労感から、悠哉がはぁはぁと肩を上下させていると、彰人は悠哉の黒い髪をかき分け露になった額に唇を押し当てた。
「…むかつく…」
二人は愛し合った後、一緒に風呂に入り湯船に身体を浸からせていた。男二人、一つの浴槽に入るには少々狭すぎるが、悠哉は彰人の身体にぴったりと自分の背中を預け、なんとか足を曲げれば入れる程度のスペースは確保していた。そんな時、悠哉はボソリと不満げに呟いた。
「…ん?なにがだ?」
「お前が上手すぎることにだよ…」
悠哉はムッと唇を突き出し「ほんとむかつく」と目を細める。そんな悠哉の態度に言葉を詰まらせた彰人だったが「下手よりもいいだろう?」と何故悠哉が腹を立てているのか分かっていない様子だった。
「そういう問題じゃないんだよ、ヤり慣れてる感がなんか癇に障る…それにお前のソレデカすぎるんだよ」
「そう言われてもな…」と彰人は困ったように眉を下げた。
しかし、これらは全て悠哉の照れ隠しにしか過ぎなかった。先程の行為、悠哉は気持ちが良すぎて我を忘れてしまうほどだった。そんな自分の姿を思い出したら恥ずかしくて堪らなかった。全ては彰人のせいだ、彰人が上手すぎるからあんなにも乱されてしまう、と悠哉は贅沢な不満を募らせていた。
「アソコがデカイのはもはや改善しようにもないしな…」
そんな時、頭を悩ませていた彰人はハッとしたように「俺のアソコがデカイから別れる、なんて言わないよな?」と真剣そのものの表情で悠哉の顔を覗き込んだ。
「は?」
悠哉は彰人の見当違いな発言に一瞬頭が追いつかず固まってしまったが、すぐに「ふふっ…なに…言ってんだよっ…」と肩を震わせ吹き出した。
「何故笑うんだっ?!」
「だってっ…ちんこがデカイから別れるとかっ…そんなこと言うわけないだろ?あははっ、ほんとお前って面白いな」
爆笑している悠哉に、彰人は少し不機嫌な態度で「お前が変な事言うからだろ」と文句を口にしたが、悠哉の笑いの波はなかなか引くことはなかった。
目元の涙を拭った悠哉はふっと笑みを浮かべると、彰人の胸に頭を預け「そんな理由で別れるわけないだろ」と呟いた。
「上手すぎることもデカいのもムカつくけど、それでもお前がいいんだよ」
悠哉の言葉に感動したように目を見開いた彰人は、悠哉の身体を優しく抱きしめ「俺もだ」と口にした。
ともだちにシェアしよう!