3 / 7

第3話

昔々、あるところに、砂漠の王様がおりました。 王様は大変な暴君で、国の村という村から美少女美少年を徴用してきてはこれを侍らせ、しかし、三日と経たずに飽いては、その者たちを処刑してしまうのでした。 さて、今宵も王様の夜伽の相手は、あの褐色の肌に銀の髪を纏わせた、蒼い瞳の少年です。この少年は、昨夜も王様のお相手をさせられたのに、疲れた様子はみじんもありませんでした。 夜伽も終わり王様は、少年に昨夜と同じように寝物語をするよう命じました。 少年は王様に申し上げました。 「承知いたしました。王様がそのように望まれるのであれば、物語をいたしましょう。」 そうしてわたくし、月が見ているその下の砂漠の中の宮殿で、今宵も不思議の物語の幕が開いたのです。 昔々、まだこの世界に人間以外よりも強く美しく長命な者たちが歩いていた頃のお話です。 あるところに、心の貧しい盗賊がいました。 盗賊は、常日頃、自分より恵まれている者達が、なぜそうなっているのかは考えもせずに、そういった者たちを憎み、羨んでばかりおりました。そうして、自分よりも恵まれた者たちの屋敷に忍び込んで、命を奪うことすら躊躇わず、その財を奪いました。 ある時、盗賊はエルフが暮らす里に目を付けました。 その中でもとびきり大きな屋敷へ月の出ない晩に盗賊は忍び込みました。 「こんな贅沢な屋敷に住みやがって、きっとこの屋敷の主は、俺のように飢えたことも、明日を生きるためのたった少しの糧がないと苦しんだこともないのだろう。」と、盗賊はいつもどおり嫉妬しました。 しかし盗賊は、屋敷の主であるエルフの兄弟に見つかってしまったのです。 「魔力の強すぎる私たちは人間に恐れられ、古くからの人間とエルフのしきたりで、この屋敷を出るわけにはいかないのだよ。出れば、また、私たちを恐れるあまり、人間との間に戦がおきてしまうだろう。…自由を知るそなたは、私たちよりも恵まれているのだろうな。」 兄のエルフが言いました。 「さて、そんな君から自由を奪ったら、君はどんな顔をするのかな。」 弟のエルフが言いました。 こうして盗賊は、塔の上の一室のみを与えられ、エルフたちのオモチャにされることになったのです。 「兄さん、こんなに若い人間が手に入るなんて、僕等は幸福らしいね。」と、弟の金髪のエルフが言うと、 「そうだね、強がってはいるが、じきに我らの手に落ちるだろう。可愛がってあげようではないか。」兄の銀髪のエルフも答えました。 壮年の盗賊は、人間の感覚では若いとは言い難いのでしたが、長い時を生きるエルフにとっては、まだまだ初々しいところのある年齢らしいのでした。 「ふざけるな!俺を解放しろ!気色悪いやつらめ!」 盗賊は暴れましたが、エルフの魔術によって四肢を拘束され、抵抗の術もなくベッドに横たわっていました。 「大丈夫だよ、怖いことはしないからね。」弟のエルフがそう言いながら、盗賊の脚を開かせます。 「大人しくしないところがまた、そそられるではないか。」兄のエルフがそう言いながら、盗賊の上衣をナイフで切り裂きました。 「やめろッ、変態共め!」 盗賊はたちまち裸に剥かれ、エルフたちの秘伝の香油で体を清められます。盗賊は、初めてこのような状況になったわけではありませんでしたが、過去、少年だったころ、無体に体を開かされた経験から、ほとんど半狂乱になって抵抗しました。 「ふざけんな!殺してやるっ、やめろ、やめろ!」 兄弟は、暇に飽かして盗賊の体を改造していきました。 盗賊は、女を抱いたことはあれど、後庭をじっくりと開かされるのは初めてでした。 盗賊は、捕まった最初の頃こそ生意気に抵抗していましたが、次第にエルフの兄弟の優しい愛撫に心を蕩かされ、エルフの魔術により、下腹の、女ならば子宮のあるあたりに淫紋を描かれ、身も、心も、兄弟に抵抗できなくなっていきました。 「盗賊君、今日はたくさん可愛がってあげようね。」 「盗賊よ、今日はどのようにしてそなたの愛らしい声を聞こうか。」 最初は頑なだった盗賊は今やただただ怯え泣き叫んで、むなしいだけの抵抗として、手足をばたつかせて暴れます。 「いやだっ!いい加減にしろッ、お前らのオモチャにされるのは、嫌なんだ!…クッッソ、…俺は、泣く子も黙る大悪党だぞ‼ お前らにいいようにされて、…情けなくへばっちまうなんて本当の俺じゃないッ…!そんな俺は俺が認めないッ…!なのにぃッ、お前ら、お前らが、妙な術を使うから…」 「相変わらず強情だな、そなたは。…弟よ、術を使うぞ」と、エルフの兄が言えば、 「まだまだしつけが足りないみたいだね、この人間ちゃんは。まぁ、そういうのもいいかなぁ。」ダメな犬ほどなんとやら、と言わんばかりに、弟が盗賊の下腹部、ちょうどあの紋様の辺りへ、そっと手を触れます。 途端、盗賊はビクンと体を震わせました。こうなってしまっては、もう盗賊に抵抗の術はありません。 「ッっ!・・・」 盗賊の体を、ゾクゾクと、快感を待ち望むかのような感覚が走ります。体が熱をもち理性が掻き消されてしまうその感覚に、盗賊は、いまだかつて逆らえたことがありませんでした。 「素直になればいいものを。…どれ、もう立っているのもやっとだろう。人の子よ、寝台へ横たわりなさい。」 兄のエルフは呆れたように、しかし、どこか楽しそうにそう言い、 「淫紋を使うと、お前の可愛くて可愛そうな減らず口がぐっと減ってしまうのが、少しだけ惜しいことだよ。」と、弟のエルフは、盗賊を優しく押し倒しました。 「ひあ・・・!いやだ、いやだ、いやだ…ッ!やめろッ!このッ変態どもが…ッ、」 語彙力の貧しい盗賊の抵抗もむなしく、エルフの兄弟は少しずつ、盗賊の衣服を脱がせていきます。 身を捩り、尚も抵抗しようと盗賊はもがきますが、外気に肌が晒され、甘い予感についに抗えなくなり、盗賊は次第に息を荒げ、ぐったりとなってしまいました。 今や盗賊は、何度目かの軽い絶頂を迎え、生まれたままの格好で震えていました。その哀れな様子は、エルフの兄弟たちの嗜虐心を更に煽ったのでした。 「さあ、どうしてほしいか、はっきり言うがいい。素直にならなくては、だめだぞ。」 「そこを隠してはだめだよ。どうなっているのか、はっきりと僕たちに見せなさい。…ああ、恥ずかしいことになっているねぇ。そこを、どうしてほしいのかな。…おっと、自分でいじってはだめだよ、手は後ろにして…」 エルフに口々になじられ、言葉で追い詰められて、盗賊はついに、甘えた声で愛撫を乞うていました。 「お願い、します、っ、俺の、いやらしい身体を、いじめて。もっと、…堕としてください。っ、」 その声に、エルフの兄弟はにっこりと笑い、そして、尚も激しい愛撫を加え、盗賊を悶えさせていきます。 「そうだよ、素直になってしまえば、可愛いものだね。」 「さて、存分に快感を味わったのであれば、今度は我々に奉仕してもらおうか…」 こうして、盗賊は前後も上下もわからなくなるまで快感漬けにされ、次第に従順な慰み者として、その人格を上塗りされていくのでした。 少年はそこまで語ると、口をつぐみ、王様を見ました。 少年の物語の余韻に、しんと浸っていた王様は、しばしの沈黙の後言われました。 「なるほどのう。その盗賊は、嫉妬に狂って禁忌の館にまで踏み入った挙句、その自由をそねんだ長命の者たちに、死ぬるときまで雌伏させられ、隷従させられる運命を辿ったのだな。」 「左様にございます。」 少年は、静かな声で言いました。 「だが、衣住食に困らぬ生活は送ることができたのだな。」と、王様は、皮肉そうに唇をまげて仰りました。 そうして王様は、おもむろに少年に命じられました。 「明日の夜もまた、夜伽に参るがいい。そして、余にまた不思議な話を聞かせるのだ、よいな。来なければ、その首、はねてしまうぞ。」 「承知致しました。」 少年は恐れる風もなく言い残し、王様のお休みの邪魔にならぬよう下がりました。 少年は、明日の夜はいったいどのような話をするのでしょうか。 明け方の近くになりまして、わたくしもまた、明日の夜が待ち遠しいような、恐ろしいような気持ちになりながら、眠りに着いたのでございます。

ともだちにシェアしよう!