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【2】 p7
「…はッ、…はッ、…はッ」
加えられる衝撃に合わせて、碧斗の喉から鋭く呼気が漏れる。
「ガバガバにすんな。もっと締めろ、プロじゃねえのか」
磯崎が苛立たしげに舌打ちする。そう言われたって体勢が苦しすぎて対処できない。
磯崎の求める体位はいつだって残虐だ。
仰向けにした碧斗の足首を吊りあげて高々と持ちあげ、その下にクッションを幾重にも差し入れて、尻を掴んで痛いほど握ったかと思うと、碧斗の身体を深々と折り畳んで立ったままペニスを挿入し、それから長時間、まるで掘削機が地面を掘り続けるようにただひたすら碧斗の後孔を打ちすえるのだ。
荒っぽいのでしょっぱなから皮膚の打ち合う音がパンパンと部屋に響き、そのあまりのつらさに、できれば出したくないと思っている鋭い気息が碧斗の喉を突いて出る。
磯崎はまるで碧斗をセックスドールか何かのように乱暴に扱い、射精に至るためだけにピストンをおこなう。便所たる碧斗は一方的に使われるだけだ。
ほぐされない肛門にペニスを挿入される時の一撃は意識が白みかけるほどに痛い。実際、数秒間呼吸が止まる。全身から汗が噴き出して、これ以上ないくらいに動悸がして、そのまま心臓が止まってしまうのではないかと思うほどの衝撃を食らう。不感症の男娼の後ろの孔を心配してくれる客など珍しいのが現実だ。
そんなふうに苛烈に始まるセックスも、血だか体液だかでいつしかピストンはスムーズになる。一方でペニスにこすられ続けている孔はずっと切り裂かれるような痛みに襲われ、やけどを負うばかりに焼けついて碧斗を苦しめる。
自分のアナルはいったいいつどうやって治癒しているのか、それとも治癒せずにまた犯されているのか、もはや定かではない。
「いいぞ。お前のへにゃちんも縮みあがったフクロも、いやらしくぶらぶらゆれてるぜ。エロくてたまんねえな」
磯崎はスキンを付け替えてはイキまくり、感じられずにただ掘削され続ける碧斗は、何度か意識を失いかける。快感を得ないまま射精も幾度かする。精液は碧斗の顔までもを無様に汚し、その度に磯崎は歓喜の哄笑をあげるのだ。
それにも厭きると、磯崎は碧斗になんやかやと詰めてくる。今夜もお定まりのフルコースだった。
今日はピンポン玉を持ってきたと豪語するが、前回のゴルフボールより軽くて小さい分、容赦なく直腸へと詰め込まれる。いったい今、幾つ目を入れられているのか、数えていないとちゃんと出し切れるか不安だ。
(お願い…、もう、やめて。もう、やめて…)
ベッドの上で逆さ吊りのような状態をとらされ、腹を膨らまされて、苦しくてならない。
「よし。こんなもんだろ」
ようやく腰をシーツへ戻された。同時に尻の下にビニールを添えられる。
「出せ。俺の目の前で全部出しやがれ」
仰向けに寝転んだまま排泄しろというのだ。碧斗は痙攣するように首を振った。
羞恥で閉じようとした足を乱暴にこじ開けられる。露わになった碧斗の秘所を見ながら磯崎は満足げに口を歪めた。
「淫売は淫売らしく、なりふりかまわず見せろ。隠そうとなんざ思うな」
でも自分では無理だ。恐ろしさに力が入らない。
『かんちょうして』
唇の動きで知らせた。これまでも繰り返し使ってきた言葉なので読み取れたのだろう、ばしんと頬をはたかれる。じんじんと頬が腫れた。
「楽に出そうって魂胆がみえみえなんだよ。あれは最終手段だ。まずは自力で出しやがれ、この淫売が」
ともかく本来身体に入れておくべきでないものが入っているのだから、いつまでも出さないでいては病院行きになってしまう。諦めて腹に力を込めた。醜悪な衝動と共に一つが排泄され、それで勢いづいた後孔は立て続けに異物を吐き出す。
「いいぞ。エロい。匂いがすげえな」
醜悪な行為をさせられている。神経がおかしくなりそうだ。
「やば。俺もイきそうだぜ」
慌ただしく自身をしごきながら磯崎が碧斗へとまたがってくる。
「咥えろ」
差し出されたものを命じられるまま口に含めば、のっけから激しく腰を遣ってくる。喉の奥を突く大振りな抽送に、苦しい喘ぎが碧斗の鼻からたて続けに漏れた。
「へったくそだな」
歯がみするような声を絞り出し、忌々しげに碧斗の顔へと唾を吐き捨てる。
磯崎は浅薄な男だ。そしてそんな上等とは程遠い相手こそが自分にはふさわしい。
醜悪な匂いと、ぐちゅぐちゅと卑猥な音を撒き散らしながら口内を犯す、肛門に突っ込まれていたままの汚いペニス。それそが碧斗の人生のシンボルだった。
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