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第2話
「実はね~。今度の恋人さんが、最高なんだ!」
「え?新しい恋人さんが出来たのですか?」
煜瑾は我 がことのように、嬉しそうに手を叩いた。
「まあね」
滅多に見られない小敏のはにかんだ笑顔に、煜瑾はやっと親友が幸せになれるのだと安堵する。
「もう、彼の事しか考えられない。ずっと一緒に居たいんだ」
うっとりとした目で打ち明ける小敏が、とても美しいと煜瑾は思った。
「それって、運命の人ってことですか?」
煜瑾までもがウキウキと目を輝かせて聞くと、小敏もこの上なく嬉しそうに頷いた。
「そうかもね。とにかく、とっても優しくて、ボクのコトをメチャクチャ愛してくれていて、すごくイイ人なんだ。…まあ確かに見た目は普通の人なんだけど、でも、最高にカッコイイんだよね」
熱っぽい眼差しで、浮かれたように話す小敏に、煜瑾は少し不思議そうな顔をした。
「ふ~ん」
「何だよ~。疑ってるの?」
親友の気の無い返事に、小敏はムッとして聞き返した。
「いいえ。ただ…」
言いにくそうというより、可憐に微笑みながら煜瑾は口を開いた。
「私の文維以上に素晴らしい人が、この世に存在すると言うことが想像できないので、ピンと来なくて…」
「はあ~?」
あまりにも無邪気な答えに、小敏も呆れかえる。だが、純真な煜瑾はどこまでも本気なのだ。
「だって、文維は、背も高くて、お顔もハンサムで、その上賢くて、優しくて、これ以上完璧な人間はいないのではないか、と思うほどなのですよ?そんな文維を、小敏だって知っているのに、それ以上にステキな人だなんて…ふふふ」
微塵の疑いも無く、ましてや小敏への皮肉や嫌味の意図など欠片も無く、煜瑾は正直に自分の気持ちを口にするが、小敏は納得できない。
「あ~!バカにした!ボクの優木さんをバカにしたでしょう、煜瑾!」
「そ、そんなこと…」
思いも寄らず小敏に叱られて、煜瑾は心からビックリした様子だ。まさかそんな風に思われるとは全く想像していなかったらしい。」
この辺りが「深窓の王子」の「深窓の王子」たる所以で、全くの世間知らずの上に恋愛に晩熟 で、加えて純粋すぎて、本人には全く悪気はないのだが周囲の人間を驚かせる。
「ひど~い!ボクの優木 さんは、文維よりずっとステキなんだからね!」
「そんなこと…、ありえません!文維よりステキな人なんて…」
互いにムキになって主張し合っているその時に、ちょうど当人の包文維が現われた。
「何ですか?ケンカなんて、珍しいですね?」
カワイイ2人をからかうように言って、文維は自然に煜瑾の隣に座った。
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