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第2話

 プールの帰り道、先輩は意外な話題で僕との会話を続けた。 「松元、あんまり自己評価が低すぎると、逆に人に不快感を与えちゃうかもしれないね」  その言葉に僕は驚いた。 「先輩、何の話ですか?」 「いや、なんでもない。ただの思いつきだ」  先輩は深く考え込んでいるようだったが、僕にはその意味がよくわからなかった。 「先輩、何か悩みでもありますか?」  僕が尋ねると、先輩は微笑んで首を振った。 「大したことじゃないよ。ただ、人は自分を過小評価しすぎることがあるってことさ」  その言葉に何かを感じ取った僕は、しばらく黙って考え込んだ。やがて先輩が口を開いた。 「松元、君はどう思う?人は自分をどう評価すべきだと思う?」  先輩の問いかけに、僕は真剣に考える。 「自分の良いところも悪いところも、客観的に見て評価すべきだと思います。ただし、過度な自己評価や過小評価は良くないと思います」  先輩は僕の答えを聞いて、うなずいた。 「そうだね。バランスが大事だ。自分を客観的に見つめることで、成長することができる。でも、自分を貶めすぎるのも良くない。人は自分を過小評価しすぎることで、自信をなくしてしまうこともあるんだ」  その言葉に、僕は深く頷いた。 「先輩、ありがとうございます。なんだか勉強になります」  先輩は微笑みながら僕に手を差し出した。 「いいよ、松元。お互いに成長していこう」  僕は先輩の手を握り返し、彼の言葉に胸を熱くした。

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