3 / 5
第3話
その日の夜、僕は先輩との会話を思い出しながら、自分自身を振り返っていた。
「先輩の言う通りだ。自分を客観的に見つめ、過度な自己評価や過小評価に陥らないようにしなければ」
心の中でつぶやきながら、僕は机に向かって座り、教科書を開いた。明日のテストに向けて勉強しなければならない。
しかし、その思考の中で、先輩のことが頭から離れなかった。彼の言葉はなぜか深く僕の心に響いていた。
「先輩はいったい何を悩んでいるんだろう?」
そんな疑問が頭をよぎりながらも、僕は一生懸命に勉強に集中した。だが、気になる先輩のことが頭から離れず、なかなか集中できなかった。
翌日の放課後、プールの更衣室で再び先輩に会った。
「先輩、昨日の話、どうもありがとうございました」
先輩は僕の声に気づいて振り返った。
「ああ、松元か。あの話はどうでもいいよ」
「でも、僕にとってはとても意味のある話でした。先輩のおかげで、自分自身を客観的に見つめ直すことができました」
先輩は僕の言葉に微笑んで頷いた。
「よかったな。君もそうやって自分を成長させていくんだ」
その言葉に、僕は再び先輩の内面に興味を持った。彼がどのような思いを抱えているのか、そしてそれをどのように乗り越えてきたのか。そんなことが気になり始めた。
「先輩、実は昨日の話を聞いてから、あなたのことが気になっていました」
僕は思い切って言葉を続けた。
「何か悩み事でもあるんじゃないかと思って」
先輩は僕の言葉に驚いたような表情を見せたが、すぐに笑顔に戻った。
「松元、そんなことまで気にかけてくれてありがとう。でも、大したことじゃないよ。ただの些細なことさ」
先輩は軽く首を振って、更衣室を出ていった。僕は彼の後ろ姿を見送りながら、心の中で彼のことを考え続けた。
ともだちにシェアしよう!