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09.公然もふもふ罪

 好きにしていい? 俺が? リカさんを? 「さぁ、どうぞ」  余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)って感じだ。信頼してくれてるんだな。嬉しい……のに、何でだろう? 凄くもやもやする。 「あっ」  体が動き出した。俺の意思じゃない。勝手に動いてる。 「おっ! 始まったぞ」 「大丈夫かニャ?」  黙々と歩いてリカさんの背後へ。おい、俺。一体何をする気だ――。 「う゛え゛っ!?」 「おっと……」  なっ、何ってこった!? あろうことか俺はリカさんの尻尾を鷲掴(わしづか)みにしてしまった。~~っ、確かにメチャメチャ気になってはいたけれども!!! 思う存分堪能したいとは思っていたけれども!!!! 「~~っ、もうちょっと……何かあんだろ」 「こんのガキィ~~~~っ!!!!! 歯ぁ食いしばれええぇええ!!!!!!!」 「ひぃいいぃいいい!!?」 「落ち着いて、大五郎(だいごろう)。大丈夫だから」 「看過出来ませぬ。貴方様相手に斯様(かよう)な――ぬおぉっ!!?」 「あ゛」  もみもみ……いや、もふもふし出した。俺の手が。リカさんの尻尾を。 「わっ……! おっ、ふぉ~~♡♡♡」  ふわふわだ!! それにあったかい!!! 揉む度に形が変わってく。ああ♡ 堪んねえ~♡♡♡ 「……っ、熱烈、だね」 「っ!!!」  リカさんの肩が震えてる。おっ、怒ってる!? まっ、マズい!! 「りっ、リカさん! 手を、俺の手を止めてくださ――ふごっ!!??」  ぎゃああぁあああああああ!!!???? 顔を埋めてしまった。リカさんの尻尾に。これはもうアレだろ。人間で言えばパフパフ的な。 「んっ」 「っ!」  リカさんの口から悩まし気な声が。えっろ………………………………じゃなくてぇ!!!!!! 「もう生かしちゃおけねえ!!! 覚悟しろい!!!!!」 「んんんんん!!!」  死ぬ! 死ぬ!! 死ぬうぅうぅう!!!! 「(カイ)」 「ん? うぉ!!??」  手が動く!! 足も動くぞ!!! 「ふぐおぉおおお!!」  全力で後退する。 「おっ!? とっとと!! ~~っ、てぇ……」  バランスを崩して尻もちをついてしまった。痛い。でも、今は。 「すみませんでした!!!!」  その場で土下座をした。赦しの声は届きそうにない。だっ、だよな。うう゛っ、穴があったら入りたい……。 「あ……その……見ての通りだよ! 優太は無害だ。悪意もなければ、危害を加える意思もない。ただちょっとその……好奇心旺盛なだけで」 「「「…………」」」 「わっ、分かった! それじゃあ、しばらくはみんなには触れられないようにして……。それから……そうだ! 私の監督下に置くとしよう。決して1人では行動させない。これなら安心だよね?」 「「「…………」」」  異論なし。ひとまずOKってことか。よっ、良かった。とはいえ、超マイナスからのスタートだ。こりゃ相当頑張らないと……っ!? あれは何だ? 黒猫? 後ろ足で立ってる。桃色の着物+前掛け姿で、木の陰からじーっとこっちを見てて。 「っ、可愛い♡♡♡」 「椿(つばき)? どうしたの?」 「ニャニャ!」  駆けてくる。今度は4本の足を使って。 「六花様! 六花様!」  来た。2本の足で立ち上がる。背の高さは幼稚園の子供ぐらいか。全身真っ黒で目の色は緑。丸顔で体格は少しぽっちゃりめだ。黒くて短い毛が、椿ちゃんの呼吸に合わせて上下に小さく揺れている。くっ! モフりたい。でも、ダメだ。堪えろ、俺!!!! 「椿もニンゲンに命令してみたいですニャ!」 「へっ?」 「ん?」

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