15 / 48
13.約束
「はぁ……っ、はぁ……ここが頂上、か?」
目の前には原っぱが広がっている。
何もないかと思いきや、隅の方に小さな小屋があった。
もしかして、あの中か?
「リカさん? すみません、優太 です」
簾を押して中を覗く。
日影にあるせいかどうにも薄暗い。
小屋の五分の二が土間で、その先はフローリングか。
真ん中にあるのは囲炉裏かな?
「っ!? リカさん!」
囲炉裏の脇に、リカさんの姿を捉えた。
俺は大慌てでローファーを脱ぎ捨てて土間に上がる。
「しっかりしてください! リカさん!!」
リカさんは眠っていた。
紺色の布団に包まるような恰好で。
「……ゆう、た……?」
リカさんが顔を上げる。その顔は真っ青だった。
まるで生気を感じない。
「……っ」
背筋が凍る。リカさんが死ぬ。
マジでそんな気がした。
俺は居ても立ってもいられず、自分の着物の襟を力任せに開いた。
「飲んでください」
「ありがとう。でも、ついこの間もらったばかりだから」
イライラする。
こんなボロボロなのに、それでも変わらず他人のことばっか気に掛けて。
「優太? どうかした?」
「……リカさんのその思いやり深いところは美点だと思います。だけど、こっちの気持ちも……ほんの少しだけでいいから、汲んでもらえませんか?」
「そっちの気持ち……?」
「俺らだってリカさんのことを思ってる。大好きで、大切で、失いたくないんですよ……っ」
何かが零れ落ちた。涙だ。
慌てて拭うと、ぐっと腕を掴まれた。
リカさんだ。困り顔かと思いきや、どこか擽ったそうに笑っていて。
「ありがとう」
「……それは考えを改めてくれるってことでいいんですか?」
「うん」
「じゃあ、これからは一人で抱え込んだりしないで、困った時にはちゃんと俺や里のみんなを頼ってください」
「分かった。約束するよ」
「……………………ほんとに?」
何かチョロ過ぎやしないか?
言わされてる感が半端ないんですけど。
じとーっと見つめていると、リカさんが一層おかしそうに笑い出した。
「こんなふうに泣かれちゃったらね?」
もう片方の手で涙を拭ってくる。
バカにしてるようには見えなかった。
むしろ、凄く嬉しそうで。
正直困る。ンな顔されて、俺はどうしたら?
嬉しいはずなのに、素直に喜べない。
何でだろう。こんなの初めてだ。
「じゃあ、早速お願いしてもいいかな?」
「もっ、勿論です。あっ……」
腕を引かれた。
息を呑みつつ身を委ねると、布団の上に寝かされる。
見上げれば、天井を背にしたリカさんの姿が。
……これ今更だけどヤバいよな?
布団の上で乳首を、なんて。これじゃまるで……っ。
「帯、外すね」
「はっ……はい……」
返事をするその声は酷くか細かった。
さっきまでの威勢はどこへやらだ。
「っ!」
しゅるっとやらしい音を立てて紺色の帯が解かれていく。
押さえを失った俺の着物は左右に分かれて、布団の上にはらりと落ちていった。
死ぬほど恥ずかしい! なんて思ってたのに……気付けば俺の目は、リカさんの開けた胸元に釘付けになっていた。
隆起した広い胸、脇腹は綺麗な曲線を描いていて、覗くお腹は当たり前のように六つに割れている。
「……っ」
カッコイイ。素直に憧れる。
でも、何か……それだけじゃない。
ぞくぞくする。目が離せない。
「ふふっ、何を見てるの?」
「っ! いっ、いえ! ただその……っ、ぼーっとしてただけです!」
「ふ~ん?」
見られるの……嫌じゃない……?
自慢の体だから? それとも……~~っ、バカ!! 余計なことは考えるな!!
これは仕事なんだから。
「いただくね」
「……はい」
俺はそう返事をしつつ、右拳を自分の唇へ。
ついでにリカさんから視線を逸らした。
見ないようにすれば少しはマシか。
「あっ……!」
来た。触れてる。
リカさんの熱くてしっとりとした舌が。
ともだちにシェアしよう!

