16 / 44
14.2回目の授乳&大失恋(☆)
「あぅ……!」
舐めて育てていく。ペロペロ。ペロペロ。ぐんぐん。ぐんぐん。ふにゃふにゃだった俺の乳首はピンっと立ち上がって、リカさんに『もっともっと』と浅ましくオネダリする。
「あぁ……♡」
吸われる。優しく、そして控えめに。
「んっ♡ んっ♡ んんぅっ♡♡」
力が抜けていく。リカさんに流れていってるんだ。俺の妖力が。
「はぁ……はぁ……♡♡」
「……甘い、っ、はぁ……っ」
「っ、もっと……飲んで、――あっ!?」
噛まれた。そのまま歯で磨 り潰される。痛い。怖い。けど、何か興奮して。歯型付けてくれないかな……なんて。
「ハァ……りか……さっ♡♡」
「…………」
リカさんが顔を上げた。熱に浮かされてる? 金色の瞳は虚ろだけど、甘く蕩 けていて。
「えっ……?」
顔を近付けてきた。止まる気配はない。鼻先が触れ合う。リカさんの熱い吐息が俺の唇を撫でて。
キス? 俺とリカさんが……?
「……っ」
顔を背けかけて……止める。初めてなのに、それでも俺は。これは単純な好奇心なのか? それとも。
「リカさん――」
「っ!? ごっ、ごめん!」
「へっ……?」
リカさんが離れていった。バシュッと跳ねて土間のところまで。残された俺はただ茫然 とするばかりで。
そうか。リカさんにはその気はないんだな。理解した瞬間、物凄くヘコんだ。ああ、俺……もう……好きになってたんだな。自覚した瞬間失恋するとか。流石は俺。『変わろう!』って決意した瞬間死ぬだけのことはある。
「ありがとう、優太 。お陰でもうすっかりいいよ」
「……本当ですか?」
「勿論♪ 今なら何でも出来ちゃうよ」
キスキャンセルの口実とも取れなくもないけど、まぁいいか。顔色は大分良さそうだし。うん。信じよう。
「優太の方は? 体、辛くない?」
「俺はまったく問題ないです」
嘘じゃない。体調にはまるで変化がなかった。むしろ軽いぐらいで。
「頼もしい限りだね」
「ははっ、唯一の取り柄ってところですかね」
「そんなことない。優太には素敵なところがたくさんあるよ」
言いながらリカさんが近付いてくる。俺は途端にカッチンコッチンになった。こんなんじゃダメだ。この気持ちは捨てるか、隠さないといけないのに。
「よいしょっ」
「っ!」
腕を引かれた。どうやら着付けてくれるらしい。嬉しい。でも、辛い。近いんだ。ひたすらに。そんな意図はないって分かってても、リカさんの手の動きや体温を意識してしまう。
「優太」
「はっ、はい」
「少し歩かない? 里の案内が出来たらなって思ったんだけど」
「えっ!? いいんですか!? あっ……でも……」
絶対迷惑だよな。リカさんが良くても他のみんなが。
「大丈夫だよ。今度は私が君の力になるから」
「……っ」
どうしよう。心臓が煩い。顔が熱い。しんどくて堪らないのに、それ以上に幸せで。ああ、やっぱ好きだ。この気持ちは当分捨てられそうにない。下手したら一生無理かも。
――転生して2日目。俺は恋に落ちてしまった。うんと年上で、綺麗で、優しくて、罪作りな妖狐様に。
ともだちにシェアしよう!

