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14.2回目の授乳&大失恋(☆)

「あぅ……!」    舐めて育てていく。ペロペロ。ペロペロ。ぐんぐん。ぐんぐん。ふにゃふにゃだった俺の乳首はピンっと立ち上がって、リカさんに『もっともっと』と浅ましくオネダリする。 「あぁ……♡」  吸われる。優しく、そして控えめに。 「んっ♡ んっ♡ んんぅっ♡♡」  力が抜けていく。リカさんに流れていってるんだ。俺の妖力が。 「はぁ……はぁ……♡♡」 「……甘い、っ、はぁ……っ」 「っ、もっと……飲んで、――あっ!?」  噛まれた。そのまま歯で()り潰される。痛い。怖い。けど、何か興奮して。歯型付けてくれないかな……なんて。 「ハァ……りか……さっ♡♡」 「…………」  リカさんが顔を上げた。熱に浮かされてる? 金色の瞳は虚ろだけど、甘く(とろ)けていて。 「えっ……?」  顔を近付けてきた。止まる気配はない。鼻先が触れ合う。リカさんの熱い吐息が俺の唇を撫でて。  キス? 俺とリカさんが……? 「……っ」  顔を背けかけて……止める。初めてなのに、それでも俺は。これは単純な好奇心なのか? それとも。 「リカさん――」 「っ!? ごっ、ごめん!」 「へっ……?」  リカさんが離れていった。バシュッと跳ねて土間のところまで。残された俺はただ茫然(ぼうぜん)とするばかりで。  そうか。んだな。理解した瞬間、物凄くヘコんだ。ああ、俺……もう……好きになってたんだな。自覚した瞬間失恋するとか。流石は俺。『変わろう!』って決意した瞬間死ぬだけのことはある。 「ありがとう、優太(ゆうた)。お陰でもうすっかりいいよ」 「……本当ですか?」 「勿論♪ 今なら何でも出来ちゃうよ」  キスキャンセルの口実とも取れなくもないけど、まぁいいか。顔色は大分良さそうだし。うん。信じよう。 「優太の方は? 体、辛くない?」 「俺はまったく問題ないです」  嘘じゃない。体調にはまるで変化がなかった。むしろ軽いぐらいで。 「頼もしい限りだね」 「ははっ、唯一の取り柄ってところですかね」 「そんなことない。優太には素敵なところがたくさんあるよ」  言いながらリカさんが近付いてくる。俺は途端にカッチンコッチンになった。こんなんじゃダメだ。この気持ちは捨てるか、隠さないといけないのに。 「よいしょっ」 「っ!」  腕を引かれた。どうやら着付けてくれるらしい。嬉しい。でも、辛い。近いんだ。ひたすらに。そんな意図はないって分かってても、リカさんの手の動きや体温を意識してしまう。 「優太」 「はっ、はい」 「少し歩かない? 里の案内が出来たらなって思ったんだけど」 「えっ!? いいんですか!? あっ……でも……」  絶対迷惑だよな。リカさんが良くても他のみんなが。 「大丈夫だよ。今度は私が君の力になるから」 「……っ」  どうしよう。心臓が煩い。顔が熱い。しんどくて堪らないのに、それ以上に幸せで。ああ、やっぱ好きだ。この気持ちは当分捨てられそうにない。下手したら一生無理かも。  ――転生して2日目。俺は恋に落ちてしまった。うんと年上で、綺麗で、優しくて、罪作りな妖狐様に。

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