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21.問題発生

「ゆー坊! オメェ本当に筋がいいなぁ! その調子で頼むぜ!」 「はっ、はい! 任せてください」 翌日。俺は予定通り、屈強河童さん達のお手伝いをしていた。 着ているのは作業着なんだけど、これがもうメチャメチャ恥ずかしい……!!! 小袖は太股丈の超ミニで、草鞋から膝の間には脚絆(きゃはん)っていうサポーターみたいなものを穿いてる。 男の絶対領域とかマジで誰得だよ……。 ふるふると首を左右に振って、作業に戻っていく。 担当しているのは脱穀作業だ。 『千歯扱き』を使ってひたすらもみ(外皮に包まれたままのお米)を取りまくっている。 処女を喪失したにもかかわらず、体は不思議とノーダメージ。むしろ軽いぐらいだ。 これもまた俺の能力の一つなのか? それともリカさんが何かしてくれたのかな? 「優太(ゆうた)」 「っ!!?」 リカさんだ。俺の後ろに立ってる。 触れてもいないし、それなりに離れてもいる。 なのに、リカさんの体温やにおいをダイレクトに感じてしまう。 これは思い出してるからだ。 昨日の晩の記憶を。鮮明に、ねっとりと。 『リカさん……っ、あ……♡』 『愛してるよ、優太』 ~~っ!!!! ダメだ。全身が、脳が沸騰する!!!! 「大活躍だね――」 「すみません! これ! 今日中に片付けちゃいたいんで!!!」 「えっ? あ、うん。ごめんね」 リカさんの声、沈んでた。明らかに沈んでた。 ごめんなさい。ほんっっっとごめんなさい。 だけど、ダメなんです。平静でいられない。 溢れ出る好きを抑えられない。 TPOを弁えてきっちり切り替えたいのに、まるで切り替えられなくて……。誰か、誰か助けて!!! 「はっはっは! 何だオメェ、その生娘みてぇな反応は!」 「無理もねえさ。これほどの美丈夫にお目にかかる機会なんざ、早々ねえだろうからな」 「ははっ……」 俺達の関係は、まだ誰にも明かしていない。 リカさんの方から話すって言ってたから、俺はそれを待っている状態だ。 『里のみんなは何とか説得出来ると思う。だけど、大五郎(だいごろう)はどうかな』 『あ~、第一印象サイアクでしたもんね』 『いや……ちょっと色々あってね。まぁ、話してみるよ。後のことは私に任せて』 色々って何だろう? そもそもリカさんと大五郎さんってどういう関係なんだ? 旧知の仲って感じだけど、対等ではなさそう。 主従関係? 家臣とか、執事とか? ありえる。リカさんってあの通り気さくで親しみやすいけど、謎の気品があるんだよな。 「旦那ァ! 今日もいい汚れっぷりだねぇ!!」 「じゃかしぃわボケが!」 畑エリアの方から大五郎さんがやって来た。 屈強河童さんの言うように、大五郎さんの体は土塗れになっている。 聞いた話によると、あの大きな車輪の体を使って畑を耕したり、(うね)作りをしてくれているのだとか。 お陰でみんな大助かりだ。ほんと、ありがたいよな。 「あ?」 ヤバっ!? 思いっきり目が合った。 ギョロリとした大きな目で睨みつけてくる。 まさに鬼の形相。親しみゼロだ。 俺、ちゃんと認めてもらえるのかな……? 「大五郎」 リカさんが一瞬で大五郎さんの隣へ(凄い)。 ケラケラとおかしそうに笑いながら、黒い車輪の体に触れる。 「湯浴みに行くんだね。手伝うよ」 「滅相もございませ――うぉおおおっ!?」 大五郎さんの体がふわふわと浮き始めた。 俺は思わず目を疑う。 大五郎さんの体は直径四~五メートルはある鋼鉄の車輪で出来ていて、中央部分には巨大な人の顔がついている。 最低でも一トン……いや、二トンはあるだろうに、それをあんなふうに軽々と。 リカさんってやっぱスゲェんだな。 戦ったりしたら、相当強いんじゃないか? 「よーし、作業再開だ。みんな頑張っていこう!」 「「「おう!!」」」 「はっ、はい!」 のっぺらぼうの茂吉(もきち)さんの号令を受けて作業を再開していく。 色々と考えなくちゃいけないことを、そっと脇に置きながら。 「おつかれさまでした!」 「おう! また明日も頼むぜ」 屈強河童さん達に見送られながら作業場を後にする。 さて、こっからが問題だ。 家に帰ったらリカさんと二人っきりになる。 まずは昼間のことを謝って、そんでもって自然な感じで会話が出来たらいいんだけど……無理だろうな、きっと。 っていうか、今日もするのかな? こんな状態で抱かれたりしたら、俺どうなっちゃうんだろう? ますますおかしくなっちゃうんじゃ? 「おっ、お風呂ありがとうございました」 半ばかき込むようにして夕飯を食べて、そのあと直ぐにお風呂に入った。 リカさんは事務仕事? をしていたみたいだ。 筆を置いてぐんっと大きく伸びをする。 「さて、それじゃあ私も入ってこようかな」 「ぜっ、ぜひ!」 「疲れたでしょ? 私に構わず寝ちゃっていいからね」 「っ! ありがとうございます!!」 今日はシないってことか。よっ、良かった。 俺がほっとしている間にリカさんは浴室へ。 残った俺は、のそのそと歩いて寝室に入る。 「ぎゃうっ!」 「はひっ!?」 何だ今の!? 鳴き声? 振り返るとそこには一匹の狐がいた。銀色の凄く綺麗な狐が。

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