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目障りだから視界に入るな糞虫が

 授業中、中西はずっと机に伏せたままだった。中西の事だから寝てるって事はないんだろーけど、元気ない感じ。  何か調子狂うな~。 「おーい、中西?体調悪いのか?」 「貴哉……んーん。大丈夫」  ダルそうに体を起こす中西はまだ機嫌が悪そうだった。 「あのさ、原因は大体分かるけど、早川だよな?」 「はぁ、巻き込んじゃってごめんね~」 「いや、まぁ迷惑だけど、早川は金曜日に反省して謝るって言ってたんだよ」 「ふーん。でも謝罪なんて一切ないよ」 「わ、忘れてんのかなアイツ~」 「貴哉は優しいよね。本当見た目からは想像出来ないぐらい優しさ」 「ん?それ喜んでいいのか?」 「ぶっちゃけさ、気に入らないんだよね空くんが。急に貴哉にベタベタし出したでしょ?」 「ああ、調子に乗ってるよなアイツ」 「貴哉は空くんの事何とも思ってないんだよね?」 「ウザいと思ってるけど」 「それならハッキリ振ってあげればいいんだよ♪」 「振る?」  急に笑顔になったかと思ったらまた訳の分からない事を……  早川には十分ハッキリ言ってると思うけどな。 「とにかく空くんに、目障りだから視界に入るな糞虫がって言って」 「ぶ!お前そんな綺麗な顔してなんつー言葉……」 「いいから言って!じゃないと俺イライラ死しちゃいそう!」 「でもいきなりそこまで言わなくても……」 「貴哉、やっぱり空くんの事が好きなんだ……」 「ちげーよ!言う!言うから変な噂広めんな!」 「やったー♡」  まぁ、これで中西が元気になってくれるんなら早川にはそれぐらいの事いつも言ってるしな。  授業が終わって、早川がやってくるのが目に入り後ろにいる中西を見ると親指を立てて行ってこいとGOサインされた。 「たっかや~♡昼飯食堂行こうぜ~!冷やし中華始まったんだって~」 「あ、あのさ早川」 「何ー?」 「め、目障りだから視界に入るな……く、糞虫が……」 「え……?」  ど、どうだ言ってやったぜ中西さん!早川の反撃に備えるが、ボーッとしてなかなか言い返して来ない。一瞬悲しそうな顔に見えたのは気のせいか? 「早川?」 「分かった。今日は一人で食うよ」 「へ?」  ちょー意外な反応!絶対何か言い返してくると思ったのにあっさり引いて行ったぞ?  そして後ろで聞いていた中西はご満悦な様子だった。 「良く言ったね貴哉♡俺スッキリしちゃった♡」 「はは、なら良かった……」  あれ、本当に良かったのか?あんな早川の顔見た事ないぞ。  中西が元に戻ったのは良かったけど、早川に対しては心にモヤモヤが残った。

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