20 / 42
早川が階段から落ちたって!
昼休みになって俺と中西は弁当を食う為に用意するけど、早川と戸塚は来なかった。早川はさっきの一件があったから分かるけど、戸塚は何で?教室にもいないみたいだ。
「なぁ、戸塚は?」
「さぁ、図書室で本でも読むんじゃない?」
「まさかあの後戸塚とも何かあったのか?」
「ないから心配しないで。それよりも唐揚げ食べる?今日作り過ぎちゃったの」
「戸塚いねぇし、食うけど」
やっぱり何か変だ!俺達の中で何かがおかしくなってる!まず早川と中西の仲は良くなってないだろ?おまけに戸塚と中西も変だし……
えー、俺の女装のせいなのかー?
そんな事をグルグルと考えていると、クラスの奴が慌てて駆け寄って来た。
「秋山!早川が階段から落ちたって!」
「はぁ!?なんで!」
「知らないけど、今は保健室にいるみたいだよ!」
「ちょ、行ってくる!」
「え、貴哉!お弁当はぁ?」
「先食ってて!」
アイツ何やってんだよ!
俺は自然と早川の元へ走っていた。
保健室に入ると誰も居なくてガランとしていた。
あれ、あのクラスメイト嘘吐きやがったのか?
すると、ベッド越しにあるカーテンの奥から気配がした。そこにいるのか?
カーテンを開けると、ベッドで早川が寝ていた。
「無事だったのか」
見た感じは怪我も無く平気そうだった。スヤスヤ眠る早川の横に座って顔を眺める。
女が好きそうな顔。良く見ると髪だけじゃ無くてまつ毛まで長いんだな。俺からしたらただのチャラ男だ。
俺が座ったからか早川が動いた。
「ん、あれ?貴哉?」
「おう起きたか」
「何で貴哉がいんのー?」
「お前がダセェ事になってるって聞いたから見に来てやった」
「あー、クラスの奴に見られてたか。もービックリだぜ。急に足がガクってなってそしたらドドドーって!」
「はは、全然分かんねーよ」
予想よりも元気そうな早川だったから安心して笑ったら、手を握られた。ビクッと反応するけど、ここは我慢してそのままでいた。
「貴哉、来てくれてありがと」
「おー早川がありがとうなんて珍し!頭でも打ったかぁ?」
「そーかも。あ、変な落ち方したみたいで両肘がめっちゃ痛いんだよね。あと足も!」
「あっそ、元気そうだから俺は戻るぞー」
「あ、待ってよ俺も行くし!」
ひょこひょこ付いて来る早川は片足を引きずっていた。仕方ない、俺様の肩を貸してやるか。
俺のその行動に早川が嬉しそうにしてたけど、今は余計な事は言わないでやった。
ともだちにシェアしよう!