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貴哉のタイプってどーゆーの?

 放課後、帰ろうと早川を探す。クラスメイトと楽しそうに話してた。 「貴哉~、今日スイーツ食べに行かない?」  暇だから行ってもいいけど…… 「悪い!今日はパス。アイツ送って行かなきゃなんねぇんだ」  早川を見て言うと、それはそれは物凄く嫌そうな顔をされた。  だって、足怪我してるのにほっとけるかよ! 「空くんを送る?どうして貴哉がそんな事をやるの?」 「足怪我してるっぽいからチャリこげねーかなって」 「別に押して帰らせればいいでしょ」 「あのさ、中西が早川の事気に入らないのは分かるけど、俺はアイツに借りがあるんだ。毎朝迎えに来てもらっててよ。こう言う時に返しとかなきゃ後で請求してきそうだし」 「それは空くんが勝手にやってる事だろ?貴哉が気にする事なんてないじゃん」 「それはそうなんだけど……っあ!」  中西に訳を説明してると、早川が一人でひょこひょこ教室から出て行くのが見えた。 「悪い!スイーツはまた今度な!」 「あ!貴哉!」  まだ不満気な中西を残して早川を追い掛ける。  追い付いて声を掛けると驚いていた。 「おい怪我人!何一人で帰ろうとしてんだ」 「うわ、貴哉?だって、中西と帰るんだろ?」 「いつそんな事言った?」 「言ってないけど……」 「けど?」 「貴哉が言ったんじゃん、視界に入るな糞虫って」 「あ!」  すっかり忘れてた!俺そんな事を早川に言ったな!あ、もしかして早川はそれを気にして俺の側に居ないようにしてたのか? 「あ、あれは……冗談だよ!間に受けてんじゃねぇよ」 「冗談でもショックだったよ。ショックでボーッとして足を踏み外しもするよ~」 「お、落ちたのって俺のせいだったのか!?」 「そうは言ってないけど」 「わ、悪かったよ!代わりに今日は俺がチャリ漕ぐから」 「やったー♪ところでさ、冗談だったなら本当は俺の事どう思ってんの?」 「どうって?普通だよ普通」 「普通ぅ?」 「何だよ、不満なのかっ?」 「まぁいいや~、安全運転で頼むぜ~」  ふぅ、とにかくどさくさに紛れて謝れて良かった。  早川を後ろに乗せて走ってると他校の女子が早川に手を振っているのが目に入った。  チャラ男め。 「あは♪さっきの子誰だっけ?」 「お前最低だな……」 「いちいち覚えてらんねーよ」 「いつか刺されるぞ」 「そしたら貴哉が守ってよ」 「やだね。一人で刺されてろ」 「ひどーい。俺が刺されたら貴哉泣いちゃいそうだな」 「誰が泣くかよ」 「実際階段から落ちたら心配で来てくれたし。なんだかんだ俺の事好きだよな貴哉って」 「黙れ。振り落とすぞ」 「きゃー♡」 「おわっ抱き付くな!」 「なぁ貴哉のタイプってどーゆーの?」 「いきなりだな。そんなの知らねーよ」 「知らねーって、自分の事じゃん。誰でもいいのー?」 「そう言う事じゃねぇよ。誰かを好きになった事がないんだ。だからタイプとか分からねぇ」 「まじ?一回も?」 「ああ無い」 「へー、じゃあさ俺とかどお?」 「有り得ねぇだろ。まず男だし」 「俺も男は無理だけど、貴哉ならイケるぜ!」 「イケなくていい!キモイ事言うなっ」  こいつが足を怪我してなかったら振り落としてたぞ今。女と遊び過ぎて男が良くなったのか?この前のキスといい、危ないな早川は。 「えっと、早川んちってこっちだったよな?」 「えっもしかして家まで行ってくれんの?」 「当たり前だろ。足怪我してんじゃんお前」 「わぁい♪貴哉さんきゅー♡」 「だからいちいち抱き付くな!」  帰りが徒歩になるのは面倒だけど、明日迎えに来てくれなくなったら遅刻の心配があるからな。  俺の目覚まし兼足になってくれる早川の体は大事にしておかねぇとな。

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