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いつものチャラ男じゃないような?

「貴哉おはよ」 「はよ……」  廊下で直登と言い合ってると、早川が登校して来た。意外と普通?てっきり直登が何か言ったのかと思ってた。 「なぁ貴哉、話があるんだ」 「何だ?」 「空くん、ここで話せよ」 「やだね。二人で話したい」 「ダメ。貴哉は渡さない」 「貴哉、来て」  早川に手を差し出されてこっちへ来いと言われる。反対に、直登には腕を引かれて行くなと言われる。  何この状況?一体どうしたらいい? 「あー、早川悪い。あんま直登の機嫌悪くさせたくねぇんだ。ここで話せるか?」 「貴哉……」 「そうだよ空くん。話せないような内容なの?」 「……明日も、中西と学校行くのか?」 「え、早川?」 「そうだよ!」  ちょっと待て。早川の様子変じゃね?何か無表情で、暗くて、いつものチャラ男じゃないような?  俺の代わりに直登が答えるけど、変わらず暗い顔のままだった。 「ふーん。分かった」 「おい早川!」  呼び止めようとするがそのまま教室に入って行ってしまう。  あいつどうしたんだ?  やっぱり直登が余計な事言ったのか? 「直登、朝あいつに連絡した時何て言ったんだ?」 「普通に今日から貴哉の送り迎えは俺がするって言っただけだよ」 「それだけか?」 「…………」 「おい!」 「貴哉と付き合う事になったからもう近付くなっとも言った」 「何ぃ!?」   早川があんなんになってんのはそれが原因じゃねぇか!てかもっと言い方あったんじゃね?  はぁ、何かもう疲れたから何も考えたくねぇや。 「だって本当の事だろ?それと、俺本気なんだよ。だったら貴哉も本気で向き合ってよ!」 「んー……」 「まだ好きじゃないのは知ってる。でも少しぐらいは俺を優先してよ!何でも嫌々じゃなくて、せめて優しくするぐらい、してよ……」 「直登……」  今度は俯いて元気なくしてた。  確かに一週間付き合うってのに乗ったのは俺だ。途中で放棄する気はねぇけど、もう少し直登の事も考えるべきだったか。  しょげる直登の頭をポンポンとしてやった。 「悪かった。言っとくが俺は誰かと付き合った事がねぇ。だから何をしたらいいとか普段とどう変わればいいとか分かんねーんだ。改めてここから一週間は直登と向き合う。それでいいか?」 「うん!ありがとう!貴哉大好き♡」 「おわっ」  抱き付かれて反射的に避けようとしたけど、さっき言われた事を思って敢えて抱き付かれてみた。  んー、こう言うのも受け止めなきゃいけねぇんだよな?  俺の身が持てばいいけど……

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