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第18話

「わっ」 「素直でいい子だなあ。可愛らしいし、こりゃきっと琉麒のやつも骨抜きになるな」  太狼はやけに嬉しそうだ。白露が琉麒の運命の番であったことを歓迎してくれている気持ちが伝わってきて、自然と笑みが溢れた。 「それじゃあな」 「さようなら、太狼様」  白露はツヤツヤ光る絹のシーツで覆われたベッドに腰掛ける。綿の布団よりも触り心地がいい。ひとしきり撫でて感嘆のため息を漏らした。 (もう今日は休んでもいいって言っていたし、お昼寝をしてもいいよね)  早速着替えをして寝台の中に潜りこんだ。あまりに寝心地がよくて、パンダ耳がへにゃりと垂れていく。 「うわー……雲の中にいるみたい」  ごろんごろんと寝台の端から端まで転がってみる。なんだか楽しくなってきた。 「もし、失礼致します番様」 「え、わっ⁉︎」  女官が声かけと共に部屋の中に入ってくる。慌てて起き上がると、女官は白露の寝巻き姿を見て片眉を跳ね上げた。 「お召し物をご用意致しましたが、すでにお着替えをされたご様子ですね」 「はい」  黒髪に灰色猫耳の女官は魅音(みおん)と名乗った。なんでも白露のお世話を引き受けてくれるらしい。 「そんな、僕はお世話されなくても自分のことは一通りできますよ」 「それでは私共の仕事が無くなってしまいますから、どうかお世話をさせてくださいませ」 「そうなんですね……うーん、わかりました」  女官や護衛相手に畏まった言葉遣いもいらないと教えられて、そういうものなのかと従うことにした。これからどうする予定なのか尋ねられる。 「お昼寝をしようと思うんだけど、いいかな?」 「どうぞごゆるりとお過ごしくださいませ。夕餉の時刻には起こしに参りましょうか」 「ではそれでお願い」  了承すると魅音は水差しと杯を置いて、楚々とした足取りで部屋を出ていった。宮中でお仕事をする人は上品なんだなあと感心する。  白露ははしゃいでいたのが恥ずかしくなって、今度はきっちりと上かけを首までかけてお行儀よく寝台に横になった。しかし頭が冴えてしまったのか、体は疲れているのに眠くならない。 「なにか心を落ち着けられるものがあったかな」  竹かごの中から笹を取り出し、もそもそ食べながら考える。

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