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第26話☆
白露は男なのに、母さんみたいに子どもを産むことができると聞いて脳が混乱した。
「怖いよ、赤ちゃんを産むなんて考えられない」
「白露……」
琉麒は困ったように眉根を寄せながら、身を起こそうとする白露を引き寄せ、そっと腕の中に抱きしめた。顔中に雨のようにキスを贈られると、強張っていた肩の力が少しづつ抜けていく。
「君は想像していた以上に無垢だね」
「ごめんなさい。父さん達もオメガについてよく知らなかったから、赤ちゃんができるなんて知らなかったんだ」
「そうだったのか……私の方こそすまない、急ぎすぎてしまったようだ。怖い思いをさせたね」
「んっ」
鼻先にキスを落とされて目をつむる。クスリと微笑を見せた琉麒は、刺繍服を脱いで白露の身体を抱きしめた。柔らかな絹の感触が素肌に触れて、ホッと吐息を漏らす。
「行為自体は嫌ではなかったか?」
「……うん。気持ちよかった」
消え入りそうな声で肯定すると、琉麒の長く美しい黄金色の尻尾がふさりと動いた。輝かしい美貌が喜色に満ちた甘い笑みを浮かべる。
「そうか。だったら今日は、君をたくさん気持ちよくしていいか?」
「えっ……」
さっきみたいなことをいっぱいされるのだろうか。白露は胸元に舌を這わせる琉麒の姿を思い出して、かあっと頬を赤くした。
(そんな、心臓がもたないよ……でも、琉麒に触られるのは好きだな。もっと触ってほしい)
微かに首を傾げた琉麒の黄金の髪が、蝋燭の光を弾く。フワリと漂う伽羅の芳香が、白露の腹の奥をじわりと熱くした。
「嫌か?」
神々しいまでの美貌が白露の双黒の瞳を一心に見つめてくる。白露はごくりと唾を飲みこんで、震える声で答えた。
「い、やじゃない……」
「よかった。では触るね」
「え、ぁ、ふあぁっ」
性感帯を愛撫される度に、白露は甘い声を上げて腰をくねらせた。
琉麒は運命の番同士が行う初めての性交にも関わらず、本能に呑まれずに思いやりと理性をもって白露を愛した。それもこれも白露に発情期がきていなかったためにできたことだが、気をやる度に茉莉花の香りは濃くなっていく。
白露が微量に漂わせるフェロモンは琉麒の欲望を刺激して、下履きの中で彼の分身は大きく膨らんでいる。
額に汗を滲ませた琉麒は頑なに中衣を脱がずに、白露を膝の上に乗せて、ツンと立った胸の尖りを執拗に舐めた。
「あ、やぁあっ! それ、いいっ、気持ちい……っ」
「白露、白露……なんて淫靡で可愛らしいんだ、どうか私の手で花開いて」
「う、あっ、ぁああ!」
その夜、何度も果てて最後には薄い水のような精液しか出なくなった白露だったが、最後まで発情期に入る兆しはなかった。
嵐のように激しい快感に翻弄されて、何度目かの絶頂の後白露の意識は眠りへと落ちていった。
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