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第27話

 目が覚めると、すでに外は明るかった。格子窓から燦々と日の光が降り注いでいる。 (綺麗な木枠だなあ、母さんの作った竹細工みたいに凝った作りをしてる……あれ、琉麒がいない)  しばらく窓の細工に見惚れてから、琉麒の姿が見えないことに気づいた。寝台に温もりが残っていないことから、しばらく前に起床したことがうかがえる。  白露は寝衣に着替えさせられていて、身体もさっぱりしていた。誰がやってくれたんだろう、最後に覚えている自分の姿はどこもかしこも汗まみれだった。  連想するように許容量を超えるほどの快感を与えられたことを思いだして、白露の頭から湯気が昇る。妖艶に微笑む唇と蛇のようにうごめく舌、それに器用な指先に高められて…… 「ひゃーっ!」 「どうかされましたか、番様⁉︎」 「なんでもないよ!」  猪護衛の声が扉の外から聞こえて、白露はぴょんと起き上がり手をぶんぶん左右に振った。その拍子に股関節に違和感を感じて、思いきり脚を開かれて隅々まで見られたことまで脳裏に蘇ってしまい、顔を両手で覆って悲鳴を堪えた。 (は、恥ずかしいぃーっ! 番ってああいうこともするんだ……っ、ぐずぐずに溶けちゃうかと思った)  琉麒はどこまでも甘く優しく白露に触れた。砂糖菓子のようにとろけさせられて、足の先から耳のてっぺんまで愛された。 (あんなに気持ちいいことが世の中にはあるんだね、すごい……とってもよかったから、僕も琉麒にお返ししてあげたいな)  昨晩は白露が気持ちよくされるばかりで、琉麒は中衣の襟すら乱さなかった。  白露は番に対して楽しいことはわかちあい、辛いことは半分こしたい。琉麒に対してもそうしてあげたいと思う。  次回はされるばっかりじゃなくて琉麒のことも気持ちよくしてあげようと心に誓ってから、やっと寝台から降りて靴を履いた。 「おはようございます白露様、入ってもよろしいでしょうか」 「魅音? どうぞ、大丈夫だよ」  足音を立てずに滑るような足取りで入室してきた魅音は、白露の姿を見るなり頭を下げた。 「おめでとうございます白露様、皇上と契りを結ばれたのですね」 「契り?」 「体を繋げたという意味でございます」 「繋げ……?」  白露が頭の中を疑問符でいっぱいにしていると、魅音は焦ったように顔を上げた。 「もしや白露様は、閨の作法をご存知ではない……?」 「わからないです」 「なんということでしょう。それでは皇上は本懐を遂げられていらっしゃらないのでは」  さっきから聞き慣れない単語ばかり並べられて、白露は何も返答できなかった。

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