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第15話

◇ 出社するなりFAXの山で、メールチェックと返信を手早くこなす。 死んだように仕事をする日々の中でも、適当に時間を作ってはセフレで発散する。 愛だの恋だの、そんな形のない下らないものは信じない。カラダだけ満たされればそれでいい。 ……はずなのだが、ここのところなぜだか、セフレに応える気になれない。 取引先との会話中でも、浮かんでくるのはスートの顔ばかりだ。 昼休みや移動中にはすかさずスマホをチェックするし、プレゼントに贈ったネックレスを付けた姿のスクショ画像は、暇さえあれば見てしまう。 ……なぜだ。 自分は病気かもしれないと思って、セフレの一人に世間話の延長気分でそれを聞いたら、『バカ!』とキレられた。 何だよ。 またいいタイミングでかかってきた学生時代の友達にそれを話したら、腹を抱えて(いたかどうかは電話口だから分からないが多分きっと間違いなく)笑われた。 結局、誰も答えを教えてくれなかった。 それでただ連日モヤモヤとスクショ画像を眺めては、スートはかわいいな、今ごろ何してるのかな。 ドーナツだかチュロスだかいうトイプードルを飼っているといっていたから、そいつに餌でもやってんのかな。 そうだ、あのなんちゃら食品のドッグフード、明日会う時に持っていってやろう。 つかドッグフードってどこに売ってんだ……? 通販サイトを使っていては、明日に間に合わない。 仕方なくダメ元で近所のスーパーにくりだしたら、アッサリと見つかった。 へぇ、スーパーなんかに置いてあるのか。全然知らなかった。ペット飼うやつって多いんだな。 ぽわんとスートの顔が浮かんだ。 ……ペットがペットを飼ってどうすんだと言いたくなる顔だ。 ニヤニヤしながらドッグフードを買い漁り、会計を済ませ、家路に向かう。 ようやく明日、ゆっくりと会える。 そう思うと楽しみで仕方ない。

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