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第18話

「──で、ではっ……!」 スートが真剣な目つきでカードを切った。 スタスタ、スタスタスタスタ…… 「あっちなみに、ワンドとソードはどちらかというと男性的な要素を持っているんです。カップとペンタクルはその逆で、女性的なんです」 うんちくを述べながらも手は忙しない。 今度はしかし、なかなかジャンプが出てこない。 「深水さんはいいなぁ、男らしくて。俺なんて……」 あくびが出そうになってきた頃、カードは突如、破裂したようにベッドへ散らばった。 「わっ! 」とスートが声を上げる。 「ええ〜⁉︎ こんな苛烈なジャンプって、あんまり無いんですけどね⁉︎ 何だかドキドキします、えっと──」 スートの華奢な指先が、裏返った六枚のカードをぺらりぺらりとめくっていく。 軽快に続けるその指は、しかし最後のカードをめくり終えた時、ギクッとこわばった。 「……どうした、悪かったのか? 何だよ、たかが占いだろ。いいから言ってみろよ」 「は、はい──。えっと、ま……」 その時ふいに尻ポケットでスマホが鳴った。 どうせ仕事関係だろうと決めつけて、確認もせずに出たのがまずかった。 「サトル⁉︎ ねぇ、またシてくれるって言ったじゃん!いつ会えるのさ? 次会ったら目隠しプレイしてくれるやくそ……」 ブツッ!と切ったが、セフレの声は電話口の外にも響く大音声だった。 「……っ、」 恐る恐るスートを見遣る。 スートは、呆けたような顔をしてじっと僕を見上げていた。が──やがて小刻みに震え始めると、ゆら、とカードの上に視線を落とした。

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