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第20話

「いや、ちょっと本当に待て。というか教えてくれ」 「なっ、なん……」 「そう、お前と出会ってからなんだよ! 今まで誰ともこっちから会いたいなんて思ったことねえのに、もう今はお前と会いたくて仕方ねぇ。他のやつのことは、お前が嫌だってんなら全部切る! 仕事してても寝てても頭ん中お前のことばっかりで、これ何んだ、病気か? 病気なのか?むしろ何科に行けばいいと思う!? やっぱり精神科だろうか!」 「えっあの……」 「ああそうだ、占い!この妙にソワソワした気持ちが何なのかを占ってくれ! 頼む‼︎」 「…………ぶッ」 一気にまくしたてると、スートはふいに前屈した。ふふ、くくくと笑い声を漏らす。 「何だよ、お前まで笑うのかよ? ダチにも散々笑われたのに。そんなにおかしな病気なのか?」 「ハ、あはっ、あははは」 スートは笑っていた。泣きながら腹を抱えて。 「深水さんって……」 「何だよ」 「バカなんだ」 「な、……」 「俺はね、好きでしたよ」 「はっ?」 「付き合ってた頃は、前の彼女のことちゃんと好きでした」 「だから?」 「……だから」 すっと近づいたスートの唇が、唇に触れた。 「……本気の恋(こっち)に関しては、俺の方がずっと上です」 そう言ってニヤッと笑んだ。 「……っ」 ぶわっ! っと音がするかと思うほど頭に血が昇り、思わず離れて口もとを拳で覆った。 何だコレ、何だコレ、何だコレ──!? 体の奥からマグマが噴き出したような、心臓がいきなりブッ壊れたような。 スートはなおもおかしげに笑っている。 よく分からない。分からないが、もう怒っていないのか? 向こうからキスをしてきた、ということはそう、怒っていない? つまりまた触れてもいいってことか!? 気がついた時にはもう胸の中にスートがいた。 「ちょ、ふか、ゲホッ……」 無我夢中で抱きしめて、首もとに顔を埋め込む。肌の香りを吸い込むと、ほのかに甘い香りがする。誘われるままに首筋を噛んだ。

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