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第22話
いや待て、そんな呑気なことを考えている場合じゃない。どうにかして取る気にさせたい。
壁に追い詰め、退路を塞ぎながら無い知恵を絞る。
無理矢理はダメだな……ここは北風と太陽方式か。
「なら……他にないのか? 金属アレルギーのやつでも付けられる素材は」
「……無いことも、ないですけど」
「何がある? 教えろ」
「す、ステンレス、とか……」
ステンレス? よく包丁とかに使うあの?
そんなもんネックレスになるのか??
まあいい、世の中物好きもいるから、あるさ。
きっとある。
「分かった、次はステンレスのを買ってやる。だからもうそれは外せ」
「でも……」
スートはまだ諦めない。
意外に強情なやつだ。
「じゃあお前は、贈ったプレゼントで相手が傷つくのを黙って見てられんのか?」
少し意地悪な言い方だろうが、仕方ない。
「そ、……それは」
「できないだろ」
「……はい」
「なら外せるな?」
「……はい……ごめんなさい」
今度は素直に謝って、やっと外したものをジャラリと受け取った。うつむいたスートが目に涙を溜める。
「……もう使わないから、あの」
「分かってる、取り上げたりしねぇよ。後で袋に入れて返す。素手で触ってもアウトなんだろ?」
問えばすまなそうに頷いた。
「ちゃんと見せろ」
ハーッとため息をついて、痛々しい発疹を隅々まで確認する。
象牙色の肌に、歪な赤いネックレス。
ところどころの水疱は破れ、わずかに血を噴き出していた。
かわいそうだ。
そう思っているのに、喉がごくりと上下した。
白い肌に、生々しい血肉色の轍。
思わず息を呑んで、その傷口に舌を触れる。
スートはびくりと肩を揺らした。痛みと羞恥が入り混じった顔で目を閉じる。
ゾクリとした。
自分の下半身に血が集中していくのが分かった。
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