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第3話

 全て食べ終わる頃には騒ぎは治まっていた。 「付いて来な」  シスターヘリアに顎で示され、大人しく後に続くと礼拝堂には修道女服を着た女が三人。そして自蔵と数人の不良が両手を拘束されていた。 「クソホモ野郎てめぇの所為で!」  俺を見るなり飛び掛ろうとする自蔵をジョンが蹴り飛ばす。 「神の前で暴力はいけまセン」  言ってる事とやっている事が噛み合ってねぇ! 「クソッ!」 「ぎゃんぎゃん煩い小僧だね」 「おい、ババァ! こんな真似してただで済むと思ってんのか。俺らの後ろに誰が付いていると思ってんだ!」 「お前達のバックが誰だか知らないが、こっちは神が付いているんだよ」 「神だと、それが何だって……」  神の名を笑う自蔵の前にプリントアウトされた画像が落とされる。 「これは先日神の怒りを買った男の末路だ」  俺の立ち位置からでは見えないが、自蔵や他の連中の顔色から酷いものが写っている事は明らかだ。 「これは先週。これは先月」  一枚。そしてまた一枚。 「中々可愛い子だね」  新たに落とされた写真を見て自蔵の顔色が変わった。 「妹は関係ねぇだろうが!」 「関係ならあるだろう」  次から次へと紙が落とされて行く。 「祖父、祖母、父、母、妹、叔父、叔母、従兄弟みんなお前と血が繋がっている。恋人、親友、先輩に後輩。これらはお前と関係する人間だ」  シスターヘリアは穏やかな声で語る。 「神は何時でも見ている。お前が教会やそこの坊やに悪さをすれば、お前とその周りに不幸が訪れる」  ヤクザな脅しに流石の自蔵も言葉を失う。  今更だが、ここって教会……だよな? 「今日はクリスマスだ。特別に見逃してやるよ」  シスターヘリアが合図をするとシスター達が自蔵たちを出口へと連行していく。  自蔵が出口に差し掛かった時だった。 「天獣会に泣き付いても無駄だ。使い捨ての兵隊の為に動いたりはしないからね」  悪魔のような微笑を浮かべるシスターヘリアの底知れぬ恐ろしさに自蔵は逃げるようにして出て行った。

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