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第7話 浴衣と祭り
永吉から渡された水色の浴衣。その柄は白の縦ラインが薄く入ってとても涼しげだった。
その浴衣を永吉の母親に着付けして貰った樹は、着付けが終わるとすぐに先に祭りに行った永吉の元へと向かった。
「イタッ……」
初めて履く草履は苦戦の嵐。
歩いていると途中で脱げるし、結び目が痛い。でも、樹は止まる事なく神社へと進んだのだった。
「おっ。似合ってんじゃんそれ」
神社の鳥居に着くと、黒い甚平を着た永吉が、人混みの中、樹を見付けて近付いて来てくれた。そして、出会ってすぐにそう言ってくれたのだった。
「なんで時間差が必要だったの?」
けれど、樹は永吉に会うと直ぐにそう言った。一緒に出れば良かったのに、なぜわざわざ待ち合わせをしなければならないのか。
樹には分らなかった。
「こっちの方がデートっぽいじゃん」
「!」
何を言い出すのやら。永吉が笑ってそう言った。その言葉に、樹は赤面してしまう。
「デートって……」
「デートだろー。二人で出掛けるんだからさ」
そう言って、永吉は樹の隣に来た。そして、ニコッと笑い樹の空いてる手を掴む。
「行くぞっ!」
「えっ、あっ、ちょっと!」
永吉が手を繋ぎ、早歩きで歩き出した。でも、その方向は神社の中ではない。少し逸れた山の中だった。
「永吉! ど、どこ行くの?」
「すげー、良いところ」
「良いところ?」
と言うだけで、永吉はどこに向かっているのかを言わない。ただ、山道を進むだけだった。
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