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第10話 別れる覚悟
「ンッ……ハァ……」
永吉の右手が浴衣越しに樹の胸を弄る。そんな所、弄られてもと思ったが、永吉にされてると思うとドキドキして変な声が漏れた。
その声に、永吉も興奮した顔を樹に見せる。
「ゆ…浴衣……脱がすの?」
はだけた浴衣に気付いた樹は、恥ずかしさのあまり永吉にそう聞いてしまった。すると、永吉はニカッと笑って大丈夫と言った。
「え? あぁ。大丈夫、俺着方分かるから崩れても直せる」
「そ、そうなんだ……すごいね」
樹はなんで今そんな事を言ってしまったのか後悔した。その言葉に、永吉が手を止めたらと心配になったのだ。でも、そんな心配はいらなかった。
永吉は手を止めず、樹の浴衣の襟合わせを掴むと下にズルッとずらした。
「っ……」
「エロ……」
露わになった樹の上半身を見て、永吉が顔を真っ赤に染めた。そして、小ぶりな乳首に唇を寄せる。
「ンンッ……」
チュッと吸われ、ペロッと舐められる。その強弱がもどかしい。
でも、永吉は樹のその反応を楽しんでいるかのように、更に器用に動く。
自身の身体をグイッと入れた永吉は、樹の下肢を開き、下着の上から樹のペ◯スを優しく触った。そして、ズルズルっと下に下げ、樹の下肢を曲げる。
「えっ、永吉ッ! この格好嫌だよ!」
「駄目。そう言われても辞めない……可愛いよ」
「うー……アッ!」
永吉はそう言うと、露わになった窄まりに顔を寄せ、そこを舐めた。その瞬間、樹は驚きのあまり大きな声を出してしまう。
「アッ…ダメッ……そんなぁ……ぅ」
ペチャッピチャッと音が聞こえた。
永吉がそこを唾液で濡らすのが、その舌と音で分かった。
樹は自身の腕を噛み、声を我慢し、永吉がそこを舐め終わるのを待つ。
「これくらいで良いのかな……」
「え……?」
顔が離れ、ようやく永吉の顔がちゃんと見えた。すると、永吉が自身の唇を袖で拭いそう言ったのが聞こえた。
「俺、した事ねーから分かんねーんだよな……。痛かったらごめん……」
「永吉……した事ないの?」
樹は永吉が童貞と聞いて驚いた顔を見せる。あんなにモテるのに、永吉はまだした事がなかった。
「ないよ。俺、恋もした事ないんだぞ。お前が初めて」
「!」
「お前は……? した事あるのか?」
心配そうに見詰めてくる永吉に、樹は自然と笑みが零れた。そして、樹は永吉に自分も初めてだと告げる。
その言葉に永吉は一瞬だけ止まり、ホッとした顔を次に見せるのだった。
「なら、お互い初めてなんだな」
「うん。僕もこんな風に人を好きになったの永吉が初めてだから……全部初めてだよ……」
恋もセ◯クスも全て初めて。だから……。
「痛くても平気」
樹はそう言うと、永吉の首に巻き付いた。そして、身体をピッタリと密着させ下肢を寄せる。その行動に永吉の身体がまた一瞬止まる。でも、それはほんの一瞬で、止まった身体を動かしたら次は早かった。
「ングッ……アアッ---」
「ハァ…キツ……っ」
永吉のペ◯スが中へと挿入された。そして、樹の中へと進んでいく。
「い…つき……」
その痛みに樹は息を止めたが、その痛みさえ味わっていたいと思うほど、樹は永吉を欲した。
この痛みも思い出になってしまうのかと思うと、もっともっと痛くして欲しいと願ってしまう。
でも、永吉は優しかった。樹の身体を労わり優しく丁寧に動いてくれた。そして、永吉の腰の動きが激しさを増し、樹は永吉に何度も何度も囁いた。
「えいきち……っ。好き……好きだよ……っ」
どうか、この夏を終わらせないで。
「俺も…すきだ……っ」
永吉の見詰める相手がこのまま自分でいて欲しいから。
どうか……。
「ンッ! アアッ---ッ」
樹は永吉の熱を身体の中で受け止めて、自らもその熱を感じ、白濁を出した。
汗ばむ身体。荒い吐息。
そして、頬に当たる金色の髪。
樹はようやく永吉と別れる覚悟ができた。
花火が終わり、祭りの明かりも消えて行くのと同じように、樹の恋も終わりを告げた。
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