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第2話

ーー 小学生の僕は微熱が続いて検査も含めて2週間ほどの入院になった。 毎日父や母や弟の音羽もお見舞いにきてくれたが、心細くて寂しかった。 そんな時に、ひょこっと病室を覗いてきた同じ年くらいの男の子。 俺を見つけるやいなや、嬉しそうに近づいてきた。 「だれ?」 「僕は蒼(あお)って言うんだ。 ここの病院でお父さんが働いてて、よく終わるの待たせてもらってる。 お母さんも忙しいんだ。 保育室もあるんだけど暇だから今抜け出してきたところ。 同じ年くらいの子がいて嬉しい」 本当に嬉しそうに話す蒼に、僕は少しだけ恥ずかしく感じて目を逸らす。 「具合悪いの?」 蒼が首を傾げて、僕はうーんと考える。 確かに少し、体はだるいような気がする。 「少しだけ」 「辛いね、僕が治す!」 「どうやって?」 「お話する?」 全くもって直接的な解決になっておらず、少しだけ微笑んだ。 「あ!」 「なに?」 「笑ったら凄く可愛い」 男相手に可愛いとは、何を言っているのだろう。 それでも嫌な気はせず、毛布に顔を埋める。 「早く良くなると良いね。 良くなったら外で遊んだりもできるかも」 「……はじめて会うのに、もう友達みたいに」 「だって何か、見つけた時から仲良くなりたいって思ったから。 もう友達だよ」 どちらかと言えば引っ込み思案の僕に、 蒼の存在はただただ眩しく映った。 「……ありがとう」 「お礼言うようなこと言った?でもどういたしまして!君の名前は?」 「あ、日向(ひなた)……です」 日向奏。 それが僕の名前だった。 初対面の人と話すのはあまり得意な方ではないから、心臓がドキドキしている。 「ひなた」 綺麗に笑う子だ、と思った。 明るくて、優しくて、心が温かくなる。 それから蒼は、毎日のようにやってきては話をして行った。 花を一輪摘んで花瓶に挿してくれたこともあったし、 宿題を僕の病室ですることもあった。 僕の熱が高ければ心配そうに見つめて手を握ってくれたり、布団をかけてくれたりもした。 僕は蒼に惹かれ始めていた。

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