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第6話
初春の空気はまだ冷たくて、肩を竦める。
学ラン1枚でもあるのとないのとでは全然違う。
「寒い?
大丈夫か…?」
「大丈夫。
悠生と……思い出が欲しい」
「分かった」
触れるだけのキスをする。
子供みたいなキスだ。
だけど、悠生とだから好き。
「日向、少しだけ口開けて。
それから、力も抜いて」
「…うん」
小指が入るかどうかのギリギリほど口を開くと、すぐに唇が重なった。
そして、ぬるっと舌が入り込んでくる。
「……ん、」
はじめての感覚に変な声が漏れた。
だけど、なんだろう。
ふわふわした気持ちになる。
これが、気持ち良いってことなのか。
それとも恥ずかしさが限界突破しておかしくなったのか。
時分からも舌を動かすと、もっと気持ち良くてびっくりした。
ぬるぬると触れ合う舌。
離れていく唇が名残惜しいほど気持ちが良い。
「どう…?」
「悠生って、幽霊なのにあったかい」
「そっち?」
色気のない返答に悠生は笑う。
いつもの明るい笑顔だ。
それが嬉しくて、連られて笑った。
「日向のお陰だな」
どっちの“日向”だろう。
俺なら良いのに。
「ベルト外すな」
「悠生も」
お互いのベルトを外し、下着をズラす。
はじめて家族以外に見られソレ。
はじめて家族以外のモノを見たソレ。
つい、自分のモノと見比べてしまう。
だって、決定的な違いがあるから。
「剥けてる…」
「大人だからな」
「同い年だろ」
「90年生まれだって言ったろ」
「でも、同い年だろ。
狡い…」
握ってみると自分のと同じモノなのに、どこか違った。
握り心地。
脈動。
大きさ。
すべてが違う。
これは、悠生の陰茎なんだ。
「扱くよ」
「…、うん。
俺も、するから」
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