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自室2*
「じゃあ、私はそろそろ休むよ。レオネも疲れたろう。ゆっくりおやすみ」
ジェラルドがそう言うとドナートとソニアもそれに続き退出して行った。マルタもまたレオネにバスルームの使い方を教えて、寝る支度を整えると出ていった。
今までのゲストルームより遥かに広くなった自室に一人残される。シャワーを浴び、ローブ一枚で天蓋付きの真っ白なベッドに転がった。なんだかどっと疲れが出ると同時に途端に淋しくなった。
(一人でこのベッドは広すぎるよ……)
二日間、ジェラルドとこんなにも長く一緒にいたのは初めてだった。移動の車内での近さには戸惑ったし、彼の妻と言う地位に見合っていないことも痛感させられた二日だった。さらにジェラルドから出された『ロッカ平原の住民をどうするか』と言う課題。これは魂をかけて取り組まなくてはいけない問題だ。
(ジェラルドに認められたい……)
ジェラルドの鋭い眼光と優しい眼差しの両方が浮かんでくる。真面目なことを考えていたはずなのにジェラルドを思い浮かべると途端に身体の芯が熱くなってしまった。
(どうしよう……)
新しく用意してもらった部屋で初日からそれを汚すような行為に躊躇いがある。だが疲れているはずなのに熱は徐々に膨張してくるようで、このまま眠ることは無理だと思った。
レオネは身を起こしローブの裾から脚の間に手を伸ばし堅くなり始めている自身の中心を握りしめる。
「……はぁ」
溜息のように深呼吸のように息を吐く。
ゆるゆるとそこを擦るが、それだけでは達することは出来ないともう分かっている。
ローブの合わせから胸へと手を入れ、突起に指を乗せる。そこはぷっくりと勃ちあがり指の腹で揉むとザワザワとした快楽が脳を焦がしてくる。
「んっ……」
指で揉むだけでは足りなくて今度は摘んで強めにコリコリと摘み転がす。それと同時に脚の間のモノも扱く。
「んんっ……はぁ……」
いつも思う。二本の腕では足りないのだ。欲望と快感は身体の奥にぐるぐる渦巻くのだがそれを吐き出すのが一苦労だ。両胸の突起を交互に慰めるがやはり両方同時に攻められたい。さらにもう一箇所刺激が欲しい場所がある。
胸を弄っていた指を口に含みたっぷりと濡らす。その指を背中側から尻へ持っていき、双丘の奥に潜む蕾を撫でる。
ローブがはだけ、勃ち上がった両方の胸と飾りや、扱かれ続けるペニスが空気に晒される。さらに中指も奥へと挿入していった。
「んあっ……」
こんな真っ白な汚れない空間で髪を振り乱し自慰に耽ることに背徳感が押し寄せる。だがもうこの熱は自分自身で鎮めるしかないのだ。
ジェラルドに出会ってから女性を抱くことが出来なくなり、ジェラルドが帰国するまでと思い、なんとか自分自身でなだめてきた。しかしバラルディ本邸へ越してからはなんとなく慣れない家で自分を慰めることも憚られ、何度となく朝下着を汚してしまい、自室のバスルームで洗いランドリールームにこっそり投げ込んできた。マルタあたりには気付かれている気がする。
なんとか一人で持ち堪えて来た若い身体も、ジェラルドの帰国までだと思っていたからこそ耐えられた気がする。その希望はあっさりと初日に打ち砕かれ、この無限に続くと思われる孤独な戦いに出口が見えずレオネは途方に暮れていた。
「あぁ……ジェラルドぉ……」
つい、愛しい人の名前を唇に乗せてしまう。
後ろと前の両方の刺激と、あの初めての夜の記憶をなぞり快楽を追う。
「んっ……」
あの夜、ジェラルドの指が捕らえた強い快感にを起こす場所を探る。
「あっ!……んっ!ん!」
広い屋敷だが声は出来るだけ殺す。それでも時々耐えきれなかったものが溢れてしまう。
いよいよ絶頂を極めそうになり、前を刺激する手を速めると、先走りで漏れたものがくちゅくちゅと卑猥な水音を立てた。
「……んっっ!」
レオネの中心から勢いよく白濁の露が吹き出した。レオネは飛ばないように手でそれを受け止めた。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
射精と同時に頭が冷えていく。自分の呼吸音がが広いベッドに響く。レオネは身を起こし自身の身体を見る。真っ白なベッドの中央に殆ど全裸のような状態で自分の精液に汚れた己の姿。なんて情けなく虚しいのだろう。
「はぁー……」
レオネは大きく溜息を付いて再びバスルームへと入った。
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