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桃色流星群2

「間宮と渡来っていつもすーぐ二人だけの世界に入るよなぁ」 「……えっ」 うまく話が逸れたと思ったのに、松村くんがすぐに拾ってきてしまう。 「な、なんかごめんね……」 「いや違う違う。責めてるんじゃなくてすげぇなって。小室と轟が憧れるのも頷けるわ」 松村くんは場所を考えていつもより静かめのトーンで話す。そして一人で納得したように頷く。一方で僕の頭には疑問符。 どうしてすごいに繋がるのだろう。寧ろすぐに我を忘れる汚点だと思うけれど。 「お互いを信頼しあってるのは伝わってくるよな。茂じゃないけど夫婦、それも熟年みたいな雰囲気」 「そうそれ!」 「え……えっ?」 「ちょっと……熟年は酷くない?」 ここまで僕らの関係が進展する事件の全貌を知っている清水くんはわざとらしくにやにやする。 松村くんはそんなことはつゆ知らず、しっくりきた清水くんの言葉に喜ぶ。 熟年夫婦、か。 長年ずっと一緒。そう見えるんだ、僕ら。 「僕は熟年でも嬉しいよ、颯太」 「へ?」 「だってずっと一緒にいたように見えるってことだもん」 ニコニコしながら颯太を見ると、大袈裟に溜め息を吐かれた。 「渡来はそういうとこあるよな〜」 「天然入ってるからな」 「亜樹、そういうのは外でやっちゃダメ……」 なんか急に僕一人が攻撃されている……? そういうとこも、そういうのも、わからない。今の発言がだめってことだろうか。 僕は嬉しさを素直に表現したのだけなのだが……。思ったことをそのまま言ってはいけないとかいう意味だろうか。 いや、それは違いそう。でもこういう時は気にしてもわからないものだ。 「ごめん〜、お待たせ」 「遅かったな」 「これを買いに行ってたんだ、実は」 その時ちょうど小室くんと轟くんが帰ってきたからすぐに意識はそっちへ向かった。 小室くんは僕に何かを渡してくる。 「えっ……! 可愛い!」 どうやらそれはちんあなごのキーホルダー。イヤホンジャックにもなるみたいだ。 ちんあなごの小さめの飾りがついていて、しかもペア。 デフォルメされて更に可愛さが上がっている。

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