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桃色流星群4
「やっほーい!!」
生徒で満タンだった旅館のロビーでなんとか部屋の鍵を受け取り、七班全員揃って与えられた部屋にやってきた。
清水くんが鍵を開けるなり松村くんが部屋に飛び込んだ。
「荷物がもう運ばれてるぜ! やっさし〜!!」
小さな洗面所と六人用の畳が敷き詰められた部屋。荷物は部屋の角にそれぞれ置かれている。
そして真ん中にある長い机の真ん中にはお菓子が置かれていた。
「おお!! なんだこれ!」
やはりそれに最初に食いつくのは松村くんだ。自分の分を早速食べて「うまい!」と叫んでいる。
あっという間に食べ終えるとドタドタ足音を立てて次は冷蔵庫を見る。とりあえず部屋にあるもの全てに触れる気らしい。
「お茶が入ってる!」
お茶には触れずに冷蔵庫を閉め、今度は押入れを見る。「布団だ!たくさん!」って叫んだあと、スパーンと押入れを閉める。それから床の間に自分のキャリーケースを置き、「オレ荷物ここ!」と叫んだ。
僕含め五人はそれをただ呆然と見る。みんな疲れてしまってつっこむ気にならないのかも。
旅行だからかいつも以上に松村くんのテンションが高いし。
普通に高校生のように喋ることもあるのに、こんな子供みたいに騒いだり、やはり面白い人だ。
「……清水くん、松村くんって昨日もあんなだったの?」
「昨日も煩かったよ。ベッドがあったからあれ以上かも」
「うへぇ……」
凛くんがげんなりと声を落とす。清水くんもどこか疲れた顔で笑うと、一つ息を吐いた。
「茂、煩い」
「逆にみんな静かだな!」
「疲れたんだよ」
「オレは全然!あ!蓮、風呂行こうぜ!」
弾丸にも負けず劣らずの勢いの松村くんに清水くんは怒る気力も失せてしまったようだ。
さっさとお風呂の準備を終えた松村くんに溜め息と共に頷いて、手早く自分の荷物を漁った。そして二人で部屋を出ていく。
一組だからお風呂の順番は一番最初だ。あとがつっかえてしまうから早く入らなければならない。
凛くんと轟くんも二人仲良く出ていった。
僕も行かなければだ……。
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