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桃色流星群5

「亜樹、どうしたの?」 「……お風呂、やだなって……」 みんなで入るお風呂って実はあまり好きでない。男子らしく大浴場でわーわー騒ぐ中で一人だけ端っこで……っていうのはどうにも居心地が悪い。騒がしいのはもともと苦手だし。 それに今や僕は颯太の恋人で、その、そういうこともしてるから……人前で裸になるのは気になる、かも。 「俺も亜樹の裸を見られるのは嫌だなぁ」 「……僕だって、颯太を見られたくない……」 「亜樹、可愛い〜」 颯太がぎゅっと僕の体を抱きしめてくる。僕も素直に腕を回すけど、問題はまだ解決していない。 今から入らなければいけないことに変わりないのだから。一組の人はみんな入っている。僕らだって一組。 遅めに行ったら人が減るだろうか。……いや、次のクラスの人が入り始めてしまう。 「じゃあさ、あとで二人でこっそり入ろっか?」 「……え?」 颯太の肩におでこを擦り付けていたらひそってそんな提案をされる。 「で、でも先生に……」 「大丈夫だよ。大部屋に集まったりとか、わいわいし始めたらこっそり行こう」 「……うん」 ルールを破るのは怖いけど、颯太と一緒ならそれがいいって思えてくる。全クラスが終わって、夕食も終わったあとなら平気だろう。みんな楽しさを求めて騒ぎ始める頃だし。 なんかいけない秘密の共有って感じが楽しい。 流石に大浴場で変なことはしてこないだろうから安心だし。 束の間の二人きりに嬉しく思いながら、ここぞとばかりに颯太に抱きつく。 「ふふ、可愛い」 颯太はそう言ってきつくきつく抱きしめてくれた。 そうしてしばらくの間二人でベタベタしていたと思う。しかし部屋の外から大きな足音が聞こえ始める。自然と察した僕らはスッと体を離した。 甘い空気垂れ流しと言われるけど、だからって割り切れるわけもないし。 「たっだいま〜!!」 「おかえり、松村くん」 やはりその足音の正体は松村くんだ。勢いよく部屋のドアを開け、僕らのいる部屋に通じる襖もスパァンと開けた。 修学旅行中ずっとこのテンションの高さを保つのだろうから、逆に尊敬してしまいそうだ。 こんな明るくて面白い人の傍にいる自分。やっぱり良縁に恵まれているのかもしれない。 ふとそう思った。

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