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桃色流星群6

「あれ? 二人ともまだ行ってないのか? そろそろ一組の時間終わるぞ」 「茂、俺の菓子食っていいよ」 「え!? まじ!?」 不思議そうな顔をする松村くんの後ろから清水くんが声をかける。松村くんはすぐに食いついて机に駆けていった。きっと気を遣ってくれたのだろう。 清水くんもやっぱり優しい。僕らをからかうこともあるのに、根本はこういった人なのだから。 「ありがとね、清水くん」 「まーほんとは怒るべき立場だろうけどな」 颯太の言葉に清水くんは苦笑する。それから畳に腰を下ろした。 そうか。学級委員だし、修学旅行中は班長だから、バレたら清水くんまで怒られちゃうんだ。 「……ごめんね、清水くん……」 「全然。渡来がそれで楽になるならいいよ」 「ありがとう……」 「俺も楽になるよ、清水くん」 「間宮それわざとだろ……」 煌びやかな笑顔で颯太が言うと、清水くんが虫を追い払うようにひらひら掌を振った。その横では松村くんがお菓子を頬張っている。 なんか面白い。修学旅行って楽しい。 騒がしいのは苦手なのに、こういう雑然さは楽しいだなんて、変な僕。 自然とニコニコしていると、今度は凛くんと轟くんがお風呂から戻ってきた。 部活の服なんだろうか。そんなように見える寝間着がわりのシャツを着ていた。やけに似合っているというか、貫禄があるというか。運動部は違うなって馬鹿みたいなことを思った。 「亜樹く〜ん」 「わっ」 そんな呑気な僕に凛くんが背中側からのしかかってくる。腕は使わず顎だけで全体重を乗せてくる感じ。 自然と僕の体は傾いていく。 「失礼します。お夕飯をお持ちしました」 するとコンコンッと襖が叩かれて、旅館の人が入ってきた。六人全員が何となく居住まいを正す。 旅館の人は一人でテキパキと机に鍋や具材を並べていく。どうやら今日はすき焼きのようだ。そして一通り終えると辞去していった。 「腹減ってたんだよ!やった!」 ぐつぐつ言い始める鍋を見て、松村くんは叫ぶ。 さっきお菓子を食べていたはずなのに。これが食べ盛りの男の子なのか。 そしてみんなで鍋をつつき合いながら美味しく完食した。主に運動部組が。

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