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桃色流星群11
確かに光が見えた場所に走り寄る。角度の問題かもしれないが、今はその光は見えなくて、地面に這って手探りで指輪を探る。
「亜樹、見つかりそう?」
「わかんない……でもこの辺に見えた……」
颯太もすぐに追いついて二人して地面に手を這わせる。
「……あっ!」
地面の凹凸を感じられるようそこから離さないまま手を動かしていたら、明らかに異様な感触があった。
急いでそこに手を戻して、その正体であるものを指で掴む。
「……っ」
自然と、息を飲む。
僕の指には颯太から貰った指輪。銀色で、内側が青色。ターコイズがついている。
正真正銘、僕の宝物。
「よかった……」
「……うん、うん……。嬉しい……」
僕は唇を震わせて、またもや涙を零してしまう。
だって本当に戻ってこないことも覚悟した。それも十分あり得る状況で、きちんと僕の元へ戻ってくれて。
涙を止めることができるはずもない。
指輪を強く握って、胸元に持っていく。
「……亜樹」
颯太が僕に手を伸ばしかけ、途中で止めた。
「……土だらけだから部屋戻ろっか」
「……そうだね」
そう言われて改めて自分を見る。手や指輪は土がついているし、膝だって薄汚れてしまっている。
これで抱き合ったら大惨事だ。
静かに微笑みあい、僕らは連れ立って部屋に戻った。
部屋についているシャワーで足や指輪を綺麗にして、きちんとケースにしまった。肌身離さずというのが一番安全に思えるから、きっと明日もつけてしまうのだと思う。
でもお風呂にはもう二度と持っていかないと決意を固める。
そして七班の他のメンバーが戻ってくる頃には、まるで何事もなかったかのような状態になっていた。
凛くんと轟くんには解決したと伝え、もう時間も遅いから、それぞれ自ら布団を敷いて眠りについた。
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