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愛はガラス2

そのまま漕ぐ練習を少しした後、いざマングローブ林の観察が始まった。 案内人の人を先頭に一列で進むことになっている。並び順は班ごとだから、僕の班は一番後ろ。そして僕と颯太はその中でも一番後ろ。つまりは最後尾だ。 前には清水くんの背が見える。それが遠ざかり始める。 僕らも息を合わせて前に進みだした。 最初は川べりだったのが、進むにつれてマングローブに変わっていく。 そのうち左右マングローブに囲まれる。 僕は首をめぐらして、それを眺めた。 水の中から幹が伸びている光景は、綺麗で不思議。でもとても魅力的な光景だと思う。 マングローブの枝が上まで迫り出して、アーチのようになっている。木漏れ日が、川の水をほんのり緑に染める。 水は太陽の光と葉でオレンジやら緑に煌めき、幻想的な雰囲気を醸し出している。 「綺麗だね、颯太……」 ポツリと呟いて上に手を伸ばす。 指の隙間から光が漏れる。 眩しくて、遠くて、温かい。 直視し続けることは困難ですぐに視線を戻した。前のカヌーと少し距離が出てしまっている。 別に川が分かれているわけでもないからはぐれはしないけど、遅れるのがいいってわけでもない。慌ててパドルを持ち直し、漕ぎ出そうとした時。 「亜樹」 後ろからの声に、手は止まる。 「亜樹も同じくらい綺麗だよ」 続いてきた声に、息が止まる。 「……そうた……?」 「亜樹、大好きだよ」 前方のカヌーが見えなくなる。 ……わからない。こんなの、僕には、わからない。 さっきまではあんなに楽しい気持ちだったのに、急に変わってしまうなんて。 颯太は単に思ったことを口に出しているだけ。こういう気持ちにさせるためでないとわかっている。 指輪をなくしたからなのか、颯太の声のせいなのか、マングローブのせいか。 やっぱり僕は不安定で、それでも好きはここにあって。 「好き。誰よりも、亜樹のことが」 木漏れ日と颯太の声が、ただ僕を包んでいた。

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