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Respective ways 7
静かに開いたドアから見慣れた使用人の顔が覗く。僕らを中に招き入れたあと、また静かにドアを閉めた。
「こちらです」
その声に大人しく従う。
使用人はいつにも増して無表情だ。
僕らを歓迎しているということはないだろうが、本当のところどう思っているのか窺えない。
使用人のあとをついて歩いていくと、応接間に行き着いた。
その間誠也は全く動じた様子を見せなかった。
初めて来る場所だから興味も湧くだろう。そもそも恋人の両親に挨拶に行くのだから、もう少し緊張した素振りを見せてもおかしくない。
乱暴で粗雑な人間、だけではないということがこれでもかと思い知らされる。
「お連れしました」
「入れ」
使用人がノックをすると、返ってくる父の声。反射的に口を引き結ぶ。
使用人がドアを開け、入るよう促す。手が自然と拳になる。
「失礼します」
「……っ」
誠也はわからない程度に僕の拳に触れ、一礼して中に入った。
僕の緊張も驚くほど解けて、すんなり足を前に出せた。
誠也の隣に並ぶ。
中では父と母が並んで座っていた。僕が遅れて入れば、鋭い視線を僕に向けてくる。
いや、鋭くはない。無機質なものを見つめる瞳。ただそれだけだ。
両親の視線はすぐに再び誠也に戻る。
「柊の言う会わせたい人間とはお前のことか」
「はい」
「事前に言ってあった通り、十分だけやる。手短に話せ」
父の言葉に誠也は小さく頷く。
もう今更、気に病むようなことはないが、僕の扱いを誠也はどう思っているのだろう。これほどまでに僕への嫌悪を明らかにしている両親の態度を。
誠也の性格からして怒りを抱きそうなもんだ。親のくせになんて態度だと。
「俺は村本誠也と言います。柊の恋人です」
誠也の言葉に両親の視線が一気に僕に集まる。
母は更に軽蔑した視線。父は僕が夜に出歩いていた理由を悟ったような視線。
「夏頃からずっと付き合っています。まず話したかったのはそのことです」
「そうか。それで?」
父はとにかく早くこの場を終えたいみたいだ。
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