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Respective ways 11
「僕は、なんだよ」
「いや、何でも……」
そして普段のようにそこまで続け、また切る。
誠也の言葉、想い、全て嬉しかった。なら少しくらい羞恥を超えてみてもいいのではないか。
柄にもなくそんなことを考えた。ふいっと誠也から顔を逸らす。
「別に僕は……お前と一緒なら、いい」
頬が熱くなる。
馬鹿みたいだ。本当に馬鹿だ。
何が馬鹿ってそれはわからない。でも素直に気持ちを言ったのも、誠也に絆されたのもとにかく恥ずかしい。
俯いて唇を噛んでいると、隣からまたもや盛大な溜め息が聞こえた。苛つきより呆れが混じったもの。
「来い」
そして思い切り腕を掴まれる。この間と同じくらい強い力で、やはり痛い。
そもそもなぜ来いしか言わない。僕の言葉をさりげなく無視するとは。
「誠也っ……!」
「てめぇ、いきなりデレんじゃねーよ」
「デレてなどっ……」
「勃った」
「は!?」
耳を疑う。頬が更に熱くなる。
なぜ僕の言葉一つで興奮するんだ。
しかし思考を巡らす余裕はなかった。誠也の大股と早足について行くので精一杯だ。
すると僕の腕を掴んでいた手が、掌に移る。
「帰んぞ」
するりと絡んだ指を見つめる。
「ああ」
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