453 / 961
Respective ways 12
重たいドアが閉まるのと唇が重なるのは同時だった。
誠也の欲に濡れた瞳が僕を見つめ、熱い舌が絡み合う。そうすれば必然的に僕の体も疼きだす。
「んっ……せい、んうっ……」
だがここは玄関だ。こんなところでするなんて、ありえない。
「んん、やめっ、せいやっ……」
「なんだよ」
甘い欲望を抑えて誠也の肩を押す。すると誠也は不満げな視線を送ってよこす。
「ここは玄関だぞ」
「んなの、どこでヤったって声は漏れる」
「なっ……だが」
「赤くなってかわいーな、がーき」
「くそっ、あ、んっ」
また重なる唇。必死に口を閉ざした。
玄関でやるなんて耐えられない。
だが誠也の舌は無理に口をこじ開けて僕の中へ侵入する。触れ合ったところから溶け合ってしまいそうなくらい心地よく、気持ちいい。
するする登ってきた手は胸と耳を触りだす。
耳の裏を指がするっと辿り、胸をきゅうっと摘まれると、ぞくぞくとした感覚が体を貫く。
もう抵抗どころの話ではない。
「んっ、んん……」
キスは続いているから声が漏れないのがせめてもの救いだ。
「すっかり快感覚えちまったな」
「うるさっ……んぅ」
それに気づいたのかはわからないが、誠也は口を離す。そして至近距離でにやにや笑ってくる。
言い返そうとしたものの、また乳首を摘まれて声を抑える羽目になる。
「全部、全部、可愛いぞ、柊」
「黙れ……」
「好きだ、柊」
「煩いっ……」
胸と耳と。指はいやらしく触ってくる。
そして耳元に直接誠也の声が吹き込まれて、僕の体はどうしようもなく熱くなった。
本当に、最悪。
どこか瞳が潤んでしまうのも、最悪。
ともだちにシェアしよう!