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With memories 3
「先の話を聞く限り、二人は元から会っていた、ということかな?」
「俺もその場にいました」
「そうか。じゃあ三人とも顔を互いに見たことはあったと」
「はい」
「不思議な繋がりがあるものだ」
俊憲さんは感心したように頷いてから控えのメイドを呼ぶ。耳打ちをされてメイドは一旦食堂を出た。
すぐに戻ってきてそれぞれの前にティーカップを置いていく。注がれていく赤みがかった茶色の液体。芳しい香りが鼻を抜けた。
紅茶と誠也はおよそ似つかわしくないものだとひっそり考える。
全員の前に紅茶が並ぶとメイドは出て行った。すると俊憲さんの瞳は真っ直ぐ僕を射る。
「さて、気を取り直して本題だな。まずは柊、合格おめでとう」
「ありがとうございます」
「高難度の大学に推薦で行くとはやはり出来のいい人間だ、お前は」
「いえ、とんでもないです」
思わず俯いてしまう。
真っ向から褒められるのは本当に慣れない。俊憲さんが今までの分を取り返そうとしているのは理解できるのだが。
「私からもおめでとう、柊くん」
明恵さんの言葉に顔を上げる。
「柊、おめでとう。推薦なんて俺には無理だ」
「あの……おめでとうございます。柊先輩なら落ちないと思っていたけど、とにかくよかったです」
目の前には笑顔。笑顔、ばかり。
俊憲さんも微笑み、明恵さんも笑い、颯太も、亜樹も笑んで。
なんだろうこの光景は。どういうこと、だろう。
やはり俯きかけた、顔。
でもこの時ばかりは引かれるように、隣を見た。
そこにも、笑顔。
誠也が本当に嬉しそうに、まるで自分のことのように、優しく、柔らかく、
「ありがとう」
ポツリと、言葉を落としていた。
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