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顕現10
「もう新学期始まってから一ヶ月以上経つのに終わらないな……」
「目的はわかってないんだったよな?」
「うん。全然手がかりがない」
「そろそろ犯人探した方が良さげだよねぇ」
「じゃあ見張ってみるか?」
清水くんが提案する。颯太が言っていたのと同じだ。
確かに授業間も使って嫌がらせをしてくる段階。辞書、ノート、教科書、体育着。使えなくなったものはもう四種類。これからだって増えるはず。
それは流石に困る。
「まあそれが妥当な手段だな〜。交代制で見張るか」
「ああ。まず朝練組が先に。俺と凛のが始まるの遅いから、清水と松村が先の方がいいか」
「ああ。渡来、シャーペンと紙ある?」
「あっ、うん」
机の中のファイルからもう用済みのプリントを取り出す。裏が無地だ。
それから書くもの……。
あれ、見つからない。
「……さっきの教室に忘れちゃったっぽい。取ってくるね」
「俺もついてく」
「ん。ありがとう」
筆箱だけ忘れてしまうとか、ボケている。
清水くんたちにごめんと目配せしてから颯太と教室を出る。
先ほど通ったばかりの階段を降りていく。
みんなが折角知恵や体力を貸してくれるんだから、急がなきゃ。
そう考えていて、僕はついてくる足音なんか聞こえなかった。
だから魔の手が迫っていることも気づかずーー
「おい」
「……へ?」
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