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球技大会開始1
からりと晴れ上がった空。程よい気温。
球技大会に相応しい日。
空から前方に視線を戻す。
何百人もの男が一堂に会し、校庭はかなりの熱気に包まれている。男らしい腕や脚が半袖短パンから露出し、視覚的にも暑苦しい。
開会式前のざわめきも相まって、余計暑い。
うん、とにかく暑い。
僕と颯太は今、一組の列に並んで待っている。隣の颯太ももちろん暑そう。
そう何とは無しに恋人を見ていたら、颯太もこちらを見る。
「日焼け止めちゃんと塗った?」
「塗ったよ」
「昼休みに塗り直してね」
「過保護だなぁ」
くすくす笑う僕を颯太は睨む。
「後悔しても知らないよ」
「ごめんなさーい」
「あーきー」
颯太が両頬をつまんで引っ張ってくる。
僕は日焼けしたらひりひり痛んでしまうタイプだ。
それは昨年の九条から逃げている時も酷かった。あの時は日焼け止めなんてする余裕があるはずもなく、後になって散々苦しんだものだ。
颯太もその様子はしっかり見てきたからこの心配よう。
思いはくすぐったくて、温かい。
その時、松田先生がメガホンで静かにするよう声を上げた。
体育担当だからこういうイベントで執り仕切る事が多い。
僕と颯太は一旦別れて、出席番号に沿って並び直した。
そして開会宣言の後、開会式が始まった。
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