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球技大会開始7

ネットが揺れ、点が入る。 松村くんがシュートを決めたのを最後に、笛が鳴った。試合終了だ。 結果は5-1。一組の勝利。 「やった! 勝ったね!」 「うん。かっこよかった」 僕はもう興奮してしまって、颯太に食いつかんばかりの勢いだ。颯太も颯太で嬉しそうにしている。 グラウンドでは両チームが整列して礼をしたところだ。 審判は結果報告に向かう。そしてチームの人たちはそれぞれはけていく。 清水くんと松村くんは僕らの方へ歩いてきた。 「お疲れ様。二人とも」 「お疲れ様〜」 「おー! 応援サンキュ!」 「ありがとな」 二人はたくさんの汗を流している。それがいかにも試合後って感じでかっこいい。 「蓮くん!」 すると可愛い声がぶつけられる。 まあ、僕らが話しているのを黙って見過ごすわけはなく。 パタパタと姫野くんが清水くんのところへ来る。 「お疲れ様! すっごくかっこよかったよ! はい、これ使って!」 「いや、そういうのいいから……」 「いいの、いいの!」 姫野くんは清水くんの手を取って無理やり渡す。清水くんは優しさ故に断りきれないのだろう。 姫野くんはタオルと、あともう一つ何かを渡したみたい。タオルに隠れてよく見えない。 「お前さ……」 「じゃあボクはバスケの試合があるから!」 「ちょっ」 姫野くんは輝かしい笑顔で手を振って、走り去ってしまった。 姫野くんって、勢いがすごい。物怖じしないのもすごい。そしてまるで台風みたいだ。この過ぎたあとの平穏感。

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