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晴れ1

「あーもう、そんなことより茂。トーナメント表見に行くぞ」 「おーう! どこが勝ってるかなー!」 変な空気は一瞬で、清水くんがすぐに次の声を上げた。清水くんは手の代わりに足を使って、松村くんを押す。 松村くんはそれに怒った様子もなく、大人しく歩き出した。 あとに残されるのは僕と颯太。 「俺らも移動する?」 「このあとの試合は……あれ、どこもない」 プリントを確認すると、ちょうどこのあとのひと試合分、一組は何もないみたい。 「あー、じゃあどうしよう」 「とりあえずここで行われる試合でも見ておく?」 「そうだね。移動するのも面倒だし」 結局、僕と颯太はまた芝生に座る。木陰だから心地いい場所だ。 ……なんて、本当は試合がないことは確認済みだったんだけど。 次にここで行われるのは仁くんの試合だ。 運良く一組の試合がなくてよかった。応援するって話したし。 「次はどこ対どこ?」 「んーと、一年一組対一年六組」 仁くんは一組らしい。 「おお、一年対決。あれ? 一年から学力順だっけ?」 「どうだっけ……? 入試の成績順のイメージはある」 「んー、でも一年のうちはクラスで運動得意不得意あんま別れないか」 「そうかもね」 たとえ入試の成績順だとしても、中学と高校の勉強内容は全然違う。だから必ずしも中学まで優等生だった子が高校でも継続してそうだとは限らない。 部活を引退して受験勉強をしてここへ来た、という過程も同じだし。 だから一年のうちはあまり偏りはないはずだ。もし偏っているならたまたまだと思う。 颯太と話しながら待っていると、徐々に両チームのメンバーがグラウンドに集まり始めた。

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